担任の先生に怒られた。

でも一応タンポポやテントウムシの絵を描いてあったので、すぐに解放された。


「あいばか!カエルなんかつかまえるから、こんなことになるんだぞ!」

「えぇー?ぼくだけー?
まつじゅんがさいしょに、おいかけっこはじめたんだよー」

「おいかけっこじゃねーし!」

「あははは、そうだよ!」

「あれ?そういえば、さとしくんは?」

「さとし、いないね」

「あ、あれおーちゃんじゃない?」


公園の隅の方にしゃがみこんでる背中が見てた。
オレたちは、顔を見あわせてニヤリと笑う

「シーーーッ」

そーっと近づいた。
せーの、って目で合図して、

「「わっっ!!」」

「うわぁっ!」

「だいせいこうー!」

「イエーイ!」

ハイタッチして、何してんの?って聞こうとしたら

「ああぁっ!!」

智くんが叫んだ。

「どうしたの!?」

「はなっ、はなっ…」

「はな?」

「はなのおくに、ダンゴムシがはいっちゃった!!」

「えぇー!?」

「なんで!?」

智くんの鼻の穴を覗きこむと、ダンゴムシらしきものが動いてた!

「でる?でる?」

「でない!あーうごいてる!」

「ヤバイ!」

「せんせー!!せんせー!!」

騒ぎを聞きつけて、付き添いで来ていた理科の先生が駆けつけてくれた。

「どうした?」

「さとしくんのはなのなか!ダンゴムシ!」

「でてこないの!」

「は!?」

先生が慌てて覗きこむ。

「ダンゴムシは、片方だけ?」

「うん、あーっうごいてる!」

先生は智くんを下に向かせて、反対側の鼻の穴を押さえた。

「口で、息を吸って!」

「はーーっ」

「口を閉じて、思いっきり吐く!」

「ふーんっ!!」


ダンゴムシがちょっと出てきた所を素早く捕まえて、鼻の穴から取り出した。

「でたーっ!」

周りでおぉ~って歓声が上がった。

「おーちゃん!」

「よかったー!」

オレたちは智くんに駆け寄って抱き締めた。

「あせったよ~」

智くんがふにゃふにゃ笑う。

「さとし、しんじゃうかとおもったよ~」

「じゅん~。だいじょうぶだよ」

ホッとしたのか、潤が泣き出したからギュッてして、よしよしってした。


「お前たち、本当に仲いいな。
それで?なんで、鼻の穴にダンゴムシが入ってるんだ?」

呆れた様子で先生が聞いた。

「えっと、ダンゴムシがまるくなったから、はなにいれてあそんでたの。
そしたら、わっていうから、ぽんっておくにいっちゃったの」

「あのね、さとしくんがしゃがんで、なにかしてるから、みんなでおどかそうとおもって…」

「まったく…
智くん、何でも鼻の穴に入れちゃだめだよ。
あと、4人も。急にびっくりさせると、危ないからね。
まぁ、取れて良かったよ」

「はーい。ごめんなさい。」

「よし」



先生はニッコリ笑って、オレたちの頭をポンポンってした。

優しくてカッコよくて、時々休み時間に遊んでくれるから、大好きな先生だ。


「まったく、お前たちは。ろくなことしないな…。
くっくっくっ、
なんで鼻の穴にダンゴムシ入れるんだよ…あははは」


先生が笑いだしたので、なんだか可笑しくなって、みんなで笑った。