事の発端は、「ぼく、わたしのじまん」という自己紹介の授業だ。

一人ずつ前に出て名前と自慢できることを発表して、みんなが拍手するってやつ。


「ぼくのなまえは、まつもとじゅんです。
ぼくのじまんは、なわとびで、にじゅうとびができたことです。」

潤にはお姉ちゃんがいるから、冬休みに一緒に練習してたもんな。
二重跳びができるようになったんだ、すげーな。


「ぼくのなまえは、あいばまさきです。
ぼくのじまんは、ギョウザをじょうずにつつめることです!」

雅紀は元気一杯に発表した。
オレなんて料理したことないからな…尊敬するよ!


「ぼくのなまえは、にのみやかずなりです。
ぼくのじまんは、パズドラで、かきんしないで120めんまでクリアしたことです。」

ニノは少し仏頂面で発表した。
パズドラ?CM見たことあるな。120面って…どんだけやり込んでるんだ!?


そうこうしてるうちに、オレの番が近づいてきた。
あー緊張する~!

「じゃあ、次、櫻井翔くん」

先生に名前を呼ばれて前に出る。

「ぼくのなまえは、さくらいしょうです。ぼくのじまんは、リフティングが3かいできるようになったことです。」

最後にペコッとお辞儀をするとみんなが拍手してくれて、ホッとして席に戻った。

オレはドキドキしたけど、一昨日の練習でリフティングが3回できたので、それを発表した。


だけど一人だけ、拍手というよりどよめきが起きたんだ。


「ぼくのなまえは、おおのさとしです。
ぼくのじまんは、いえに、カブトムシのようちゅうが、30ぴきいることです。」

さすがに先生も驚いた様子で
「カブトムシの幼虫が?30匹もいるの?」と聞いていた。

「うん。でもクワガタのようちゅうも、まざってるかもしれないけど。」

なんて平然と言うから、また教室中がざわついた。



休み時間になって、潤と雅紀が智くんに駆け寄った。

「ねえねえ、ようちゅう30ぴきもいるの!?すごいね!!」

「カブトとクワのようちゅう、みたい!」

二人は興奮気味に聞いている。

オレは、実は虫がちょっと苦手だ。
カブトやクワはもちろん好きだけど、幼虫って…

見るとニノもやれやれって顔で雅紀を見てる。ニノも苦手そうだな。
ニノと二人で顔を見合わせて苦笑いした。

「ふふふ
いいけど、いまは、つちのなかでねてるよ」

「へーー!ねてるとこ、みたーい!」

「ねぇ、おーちゃんのおうちいってもいい?」

「ぼくも!ぼくもいきたい!!」

「うん、いいよ。」

「「やったーー!」」

潤と雅紀がハイタッチして、

「じゃあ、きょう、しょおくんといくね!」

「ぼくも!ニノといくね!」

「「ええっ!?」」

なんか勝手にオレも行くことになってるんだけど!
思わずニノと2人でハモってしまった。


…☆……☆……☆……☆……☆…


いきなりの虫ネタですみません💦💦

小学生の男の子がいると、避けては通れない虫ネタ…

カブトとクワの幼虫30匹は、実話です。
何故か大量に孵化してしまって…😅


始業式の時に出た宿題「ぼくのこと、わたしのこと」で、息子がこの事を書くと言ってたのでネタにしちゃいました。