「じゅん。先にシャワー浴びておいで」

「えっ」



副社長室の奥の部屋から帰ってすぐ、しょおさんが言った。


しょおさんは優しいけど、その笑顔には強制力がある。



「疲れたでしょ?汗流しておいで」

「…うん」







シャワーで身体を清めながら、しょおさんのことばかりを考えていた。


今日は初めてあんなに怖い顔を見た。

なのに思い出すのは
笑ったり照れたりはにかんだりする顔ばっかりで。



一緒にお風呂入ろうって言ってたのに。

こうして1人で身体を洗っていると
もうじゅんとはイチャイチャしたくないんだよって言われたみたいで悲しくなる。


喉の奥がツンとした。





用意されていたバスローブを羽織ってシャワールームから出ると、しょおさんはスーツを脱いでラフな格好になっていた。



「しょおさん…」

「ん?」

「今日は本当にごめんなさい。全部俺の不注意だった。それに生意気なことも言っちゃって…」



しょおさんは、眉を下げて優しく微笑んだ。



「気にしてるの?怒ってないよ」

「でも」

「じゅんは悪くないよ。疚しいこと、してないんでしょ?」

「うん、もちろん!それは神に誓ってないよ!」

「だったらいいよ。もう忘れな?」

「俺が好きなのはしょおさんだけだもん。しょおさん以外、考えられないもん」

「じゅん」

「しょおさんが好き。世界で一番大好き」

「うん。俺も、愛してるよ」



それから抱き寄せられて


優しく髪を撫でて
キスをくれて


ゆっくりとベッドに寝かされる。


しょおさんと手を繋いで

指を絡めて




ガチャン。



手首にひんやりとした感触と金属音。



「…え?」



音のした方を見ると、右手首に手錠がはめられていた。

驚いていると、ベッドの格子を通して反対側の手にも手錠がはめられ、俺はそのまま仰向けでバンザイした格好でベッドに繋がれた。



「え、なにこれ、しょおさん…?」

「とても綺麗だよ、じゅん」



満足そうに微笑む。
いつものしょおさんだ。



「綺麗な唇だね」



俺の唇に指をあてて、ふにふにと触れる。

そこからゆっくりとボディラインを撫でるように、つーっと下に下がってゆく。



「肌も白くて美しい」

「んっ……しょお…」



指は焦らすようにゆっくりと乳首の上で立ち止まり、少しつついて、それからまたお臍まで進んで、さらにその下へ向かっていく。



「……っん」



くすぐったいような、もどかしい感覚。



「もう反応してきたね」

「はあっ…しょおさん…」

「次はこの橋を上ってみようかな」



立ち上がっている根元から、弄ぶようにその先端へ向かってなぞり上げてゆく。



「あっ……はぁっ…」

「先っぽから何か出てきてるよ。舐めてあげる」



しょおさんが口を開けながら顔を近づけて



「あ、そうだ」

「?」

「じゅんに触れる前にシャワー浴びなくちゃね」

「へっ…?」

「ごめん、少しだけ待っててくれる?」



え、
待って待って

この状態で!?



「や……行かないで、しょおさん…」

「でも俺、汗かいて汚いからシャワー浴びてくるよ。綺麗なじゅんを汚したくないし」

「しょおさんは汚くないよ…行かないで」

「寂しい?あ、そうだ。じゃあ俺の代わりにこれを入れていってあげる」

「?」



取り出したのはピンク色の小さな丸いオモチャ。

線に繋がれたスイッチを入れるとウィーンと高い音がする。



「俺がシャワーから出てくるまで、これで我慢してね。ほら腰上げて」

「え、やだっ」

「大丈夫。気持ちいいから」

「んんっ……あっ…」



くいっとねじ込まれたそれは
身体の出口の方が小さく振動している。

強い刺激ではないけど、むずむずする。



「あぁ……あ…しょお…さん…」

「俺がいいって言うまでイっちゃだめだよ。いい子で待っててね。ちゃんと言いつけを守れたらご褒美たくさんあげるから」

「やだ……あぁ…待って……」

「愛してるよ、じゅん。じゃあね」