私はいつも小林を目で追ってたから気づく。
あの告白した日から、小林と理佐がおかしい。
前は楽しそうに話していたのに、小林は笑顔を作るのに必死。理佐はどうすればいいか分からないって感じ。
小林、振られたんだ。
ってことは、私にもチャンスあるじゃん。
小林…そうとうメンタルやられてるのかな。
元気なさすぎるでしょ。
私なら…そんな風に傷つけたりしないのに。
そんなに強がらなくてもいいのに。
放課後、理佐を呼び出した。
「小林振ったんだ」
「なんで知ってるの?」
「見たから。なんで振ったの?」
「好きな人いるから…」
好きな人いるなら、小林に期待させるようなことするなよ。
と、怒りを胸に抱いたが、必死に抑える。
「ねるでしょ」
理佐はなんで知ってるの?と疑問を抱いた顔をする。
「告白しないの?」
「する勇気がないの。愛佳こそ告白するべきじゃん」
「いつかするよ」
「それ絶対しないやつじゃん」
まだしないよ。ってか、告白して振られた人に告白しても、振られるだけってことに気づかないのか?
小林は理佐が好きなのに。
今は、小林を元気にすることしか出来ない。いや、それすらも出来ていない。
「お互い、頑張ろうね」
「うん」
たった、それだけ。理佐と話して、一人で帰る途中。
急に雨が降り始めて、私は濡れたくなくて、必死に走る。
走って曲がった時、ドンッと誰かにぶつかったけど、制服と髪型と少し見える顔であの子とわかった。
「すみま…」
「そんなに強がらなくていいよ」
咄嗟に出たのがその言葉だった。
なんで、その言葉がこの瞬間に出たのか分からない。
だけど、びしょびしょな君を見て、守りたくなったし、早く理佐のことなんか忘れて私だけを見て欲しいと思った。
私の腰に腕が巻きついてきて、今しかないと思って、私は今にも壊れそうな君を、強く壊れないように、熱を伝えるように、抱きしめた。
雨に打たれたせいか、冷た過ぎる身体をこのままにする訳には行かず、いつも通ってるカフェへ君を連れていった。
瞳の奥は枯れていて、感情がないみたいに冷たい眼差しをしていて、私はその瞳をずっと見ていた。
どうやったら、小林は理佐を忘れるだろう。
どうやったら、私の事だけを考えてくれるだろう。
そんなことを考えていたら、小林に話しかけられる。
やっぱり、なんで私は小林に冷たすぎるのだろうか。
話をしている時に、私なら小林をそんなふうに傷つけない。と言いかけそうになった。
でも、言ったところで振られるだけ。
そんなことは分かっていたから、すぐに口を閉ざす。
小林と二人きりで大好きなカフェにいる。
夢のようで、すぐに壊れてしまいそうで怖かった。
続