拾われたあの瞬間から。1 | mimimimi◢͟│⁴⁶ 小説

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雨が私の身体に染み込む。

悲しみ、絶望、悲哀…などそういう哀れな気持ちと共に水が私の身体を打ち付ける。

ここに居続けてどれくらい経ったのだろうか。


元々人気がない。
通り過ぎてゆく人達はみんな、「可哀想」そんな同情するかのような目で私を見る。


​────別に拾われなくたって。



このまま雨に打たれて消えちゃいたい。


誰かを支えることなんてできない。
愛されない。愛さない。そんな私は生きてる価値がない。


はやくいなくなっちゃいたい。



所詮、私は野良猫だから…。










女子中学生だろうか。
4人組と目が合ってしまい、私の元へと近寄ってきた。


(うわっ汚い〜〜!!)
(ビョーキ持ちだよこの猫!)
(汚すぎて飼えないわ〜)


汚れていることは、私も分かっている。
だからってビョーキ持ちだなんて言うなよ。

それなら私になんか構わなくていいのに。


生きたくて“ここ”に生きてる理由ではない。


別に誰も拾ってくれなんか言ってないし…。



「かわいい〜〜」


フワッと体が浮き、目の前には綺麗な顔をした人がいた。


綺麗、そう思ったけれど他には何も思わなかった。

どうせ捨てられるだけ。
それなら、感情を抱いてしまった分無駄。


はいはい、ありがとうございます。


(汚いけど理佐この猫を飼うの?)
(飼うとかやめといたら?)













ガチャ


気づいたら、理佐っていう人に抱えられたまま家の中に入っていた。

電気はついていなくて、何かの音も何一つしない。

そこは静閑な空間だった。


「親は仕事で家にいないことが多いんだよね…」



理佐っていう人は、寂しく呟いたが質素な部屋に吸い込まれるだけだった。


机の上には、おにぎりと置き手紙が置いてあった。


『理佐へ
      食べてね    
          ママより』


たったそれだけの文字。



なぜか、理佐っていう人の顔が悲しそうに見えた。


「ひとり?」


初めて、声を出してみる。
上手く伝わっただろうか。


フルフルと首を振った姿は、まるで犬みたい。


「…二人」


そう、理佐っていう人は優しく私に囁いた。




私と理佐っていう人は、似てる。

似てないけど、似てる。



人間と猫。
全く違う生き物なのに、似てると感じた。


一体何故だろうか?


きっとお互いが…



​────独り だからだ。