(写真:関係ないSequioa National Park)


昨日、今年読んだ本をまとめてみた。抜けているものもあるかもしれないけれど、でもきっとこんなところだろう。


来年はもっとよんで、もっとまめにメモを書いたりしたい。

 

女のいない男たちー村上春樹

ドライブ・マイ・カーを観たくて先に原作を読んだが、印象にのこっているのは「シェエラザード」なのかもしれない。集中力があまりない昨今だから、短編は読みやすい。「独立器官」もよかったとおもう。

 

音楽は自由にするー坂本龍一

今年お亡くなりになって、手に取ってみた。音楽に関しては素人だから期待値が低めだったのだが、それがかえっておもしろく読めた理由だと思う。2009年に出た本で、インタビューを本にしたものらしいが、今年、同じようなものが、「ぼくはあと何回満月を見るだろう」というのが出たらしい。これもいつか読みたい。

 

ドラキュラ伯爵ーブラム・ストーカー

ホラー好きとして読んでいないのはやはり恥ずかしいと思い、読んでみた。おもしろかったけれど、やたら長いし長ったらしいし、あの時代のsensibilityに関しては現代人が理解できないものがあったりするから、難解というより、困惑が生じる。ドラキュラに襲われて瀕死状態の女性の治療にあたる医師が、(女性のお友達(?)的な男たちに対して)「輸血が必要なのは明らかだから輸血してほしいけど、(女性の婚約者)に輸血したことがバレたらよろしくないからみんなシーっね」みたいなことを言っていて、どのドラキュラ系映画にもドラマにも出てこないシーンがたくさんあって困惑。最近みた優秀なドラキュラ作品は2020年に出たこちら(たぶんネットフリックスで見れる)。優秀なドラキュラ系作品と駄作の差があまりにも激しいから毎年のように新しいものが出るのだろう。

今年はRenfield(レンフィールドというのは原作にも出てくるドラキュラのぱしり)というのが出たらしく、映画館で予告編をみたが面白そうだったけれど、あまり人気が出なかったらしい。まあ、ホラーコメディってなかなか人気がないジャンルだとは思う。アマゾンプライムで配信中らしい。

 

菜食主義者ーハン・ガン

たまたま図書館で見つけて、借りた本だったが、今年読んだ作品の中では上位に入るのだと思う。(そもそもあまり読んでいないが)感想をここで書いている。便利だからそのまま当時書いたあらすじをコピペしておく。

 

ネタバレなしで要約すると、ごく普通の主婦が社会の期待やプレッシャーに争って、自分を守ろうとしたたくましい姿を描いている。自分の信念を守り抜いて、肉体を次の次元に向かって邁進させる。彼女は菜食主義者からやがてほとんど食べ物を口にしないようになっていくが、病的な心身より、お釈迦様の絶食を思わせる尊さが描かれていた。もちろんそれを理解する人は周りにはいない。誰も尊いとは思っていない。それでも続けていくしか生きる道がない。その切実な思いと孤独な戦いが描かれている。

 

雨はコーラが飲めないー江國香織

ブログに本気を出していたころに、エッセイを読んだ方がいいと思い、読んでみた。不思議な本だったけれど、スルメみたいに、噛めば噛むほど味が出てくる感じ。雨というのは、筆者のコッカー・スパニエルで、エッセイはどれも、その犬と音楽を聴く日常の話。

 

あなたの愛人の名前は何ですかー島本理生 

タイトル通りの恋愛短編が6編入っている。面白かった記憶だが内容はあまり覚えていない。

 

The Bridegroom-ハ・ジン

『待ち暮らし』で全米図書賞をとっているハ・ジンの短編集。やっぱり『待ち暮らし』を超えるものはなかった。まあ、それはしょうがない。

 

The Writer as Migrant-ハ・ジン

中国からアメリカへ渡り、英語で書き物をしているハ・ジンが移民、言語、母語、書くことについて思索しているエッセイたち。母語ではない言語で書き物をしていた作家たちの作品や考えも紹介されていて勉強になった。

 

Butterflies: Reflections, Tales and Verse -ヘルマン・ヘッセ著 (V. ミヒェルス編)

洋書では珍しく(持論)装丁や挿絵にこだわっている本で、タイトルの通り、ヘッセが書いた蝶にまつわる詩やエッセイ、短編が収録されている。これは今年出版されたばかりだが、同じようなものが84年に日本語版が出版されている(中身を確認しているわけではないから全く同じかどうかわからない)。英語圏ではあまり有名ではない『少年の日の思い出』も入っている。久しぶりに読んだが、これが大人になった主人公の回想録だっていうことが記憶になかったが (そもそも教科書に出ているのはフルバージョンではない気がする)、それによって切なさが倍増している気がする。この部分が教科書ではカットされているならぜひここが入れるべきだと思う。


The Lonely City- Olivia Laing 

自伝兼アート批評で、よくリサーチされているが小難しくない、素直な本。今年一番かもしれない。


In Her Words- Amy Winehouse

27才で亡くなったAmy Winehouseの両親が集めて彼女の日記やメモ、詩などを集めた伝記。写真多めだけれど、彼女の心のを覗きこんだような気分。ほしい物リストや自分がどのような人なのかなど、他人にはあまり見られたくないような(少なくとも私だったら見られてたくないけど)まで入っていて、ちょっと読んでいる方も恥ずかしいなるような、親密な本。


最後に、2024年の抱負は例年と変わらず、本をもっと読むことを掲げているので、(いずれ) 読みたい本のリストも載せておく。