伊丹想流劇塾第5期読み合わせ会が終わって、


書きたいことは山ほどあって、


でも、今はまだ終わった余韻に浸食されていて、言葉にできないかもしれない。


こんなに余韻に引きずられてるの、学生劇団の時以来な気がする。


結局、作品どうこうと同じだけ、誰と一緒にやったかが重要で、カンパニーの熱量や誠実さや温かさのパワーが大きくて、そういう意味では、今回一緒にやった人たちは、誰も彼もびっくりするくらい善良な人たちで、いやもうびっくりして心が洗われた。


ちょっとした、かけてくれる言葉が全部優しかったし、だって終わったあと、わざわざ感想言いにきてくれたり、褒めてくれたり、励ましてくれたり、私なんかに。あなたたちのほうがよっぽどすごいし、よっぽど素敵だよ、と思ってずっと恐縮していた。


本番終わった翌日の昨日は、『東京で役者を目指す22歳の若い女性(役)』と『サーカスにいたけど今は漂ってる男(役)』(我ながら、すごい組み合わせだ)から、『しっかり者のセラピスト(現実)』への降り幅が大きすぎて、酔って、フラフラしていた。


前日は身体と頭のネジ全開にして全力でふざけてたのに、その翌日は身体中のネジを身動きできないくらいぎっちぎちに締め上げて現実の課題に向き合わざるをえなかった。その落差たるや。40人ほどの会議の場でコンプライアンスについて発言してる現実の私、「誰?」て思ってた。


めちゃくちゃ立ち位置見失っていた。


そんな感覚珍しい。


同時に、強烈な寂しさにも襲われていて、この寂しさに慣れるのに、少し時間がかかるかもしれない。やばい、愛を知ってしまったかも。生きるって一期一会だよなあ。


とにかく、情緒はまだめちゃくちゃですが、大好きな人たちが増えて、一生に一度しかない経験ができて、アイホールに立てて、私は幸せです。


応援してくださった方々、本当にありがとうございました。たぶんこのあと何個か想流劇塾のまとめの感想を書きます。


大学院の文芸サークルのお友達とか、学生劇団の後輩のサンタナカくんとか、福井から芝居仲間が見に来てくれたことが、とてもありがたくて。毎回思うけど、私はちゃんと恩に報いる人間になりたい。から、何をがんばるかはわからないけど、とにかくがんばります。


昨年の春先からいろいろなことがありすぎて、ここに書くのも憚られ、放置していましたが。

 

明日、1月10日(祝月)、兵庫県伊丹市立アイホールにて、『伊丹想流劇塾第5期生読み合わせ会』に、作家と出演者の一人として参加させていただきます。

 

芝居のお稽古や発表は2021年3月以来なので、約1年ぶりです。

 

率直に言うと、もう芝居をする体力が無くなってるなあと思います・・・。

そして、私はめちゃくちゃ根暗だしどちらかというと静かにしていたいほうなのですが、外部で何かに参加させていただくときは、割り当てられる役が元気で動く系の役が多くて、そのギャップに戸惑います。今回もなぜかリーディングなのにめちゃくちゃカロリーを使っています(笑)

 

大阪に来て、たくさんの芸術系の人たち(芝居やら文学やら)と新しくお知り合いになりましたが、素敵な人ばかりで、本当に私は人に恵まれていると感謝する日々です。他の劇塾生さんたちはとー--っても素敵な人たちで、書く戯曲もすごく面白いです。みなさんの才能やセンスはいったいどこから来るのでしょう。

 

私は、自分の凡人さを思い知らされる日々ですが、できることはしっかりやって、他の作家さんたちの作品の魅力が十二分に伝わるように読みたいと思います。

 

そして、アイホールがずっとずっと続きますように。祈りをこめて。

 

何かを福井に持ち帰れるようにがんばります。

 

 

 

 

イキウメ『外の道』、大阪公演千秋楽を見てきました。

 

コロナが怖くて、大阪に来てから3ヶ月、ずっと大阪駅近辺の繁華街には近寄らなかったのですが、ものすごく久しぶりに足を踏み入れました。

 

会場はサンケイホールブリーゼ。私は初めてで、ビルの7階にある劇場は新鮮でした。大きすぎもせず小さすぎもせず、ちょうどいい劇場だと思いました。

 

イキウメは、『天の敵』をABCホールに見に行って以来。私は血とかホラーとか心理ミステリーも苦手で、『天の敵』もちょっと気持ち悪くなったので、大丈夫かなあと思いつつ。でも、イキウメの圧倒的物語を感じたくて、大阪公演が100%の客席で見られるようになったタイミングでチケットを取りました。

 

内容は、正直、今までの物語よりも抽象的で難しかったかなあ。ある町で再会した幼馴染二人(池谷のぶえさんと安井順平さん)が、自分たちの身のまわりに起こりだした不思議な体験を語り合う。不思議な体験は現実を侵食し、二人は現実の外の道を歩き出す。

 

その不思議な体験は、理由があるものではない、突然に起きだしたこと、そして逃れられないこと、他の人には理解されないこと。

現実が今までとは違う風に見えてきてしまう。

 

何が正しくて、何が正しくないのか、何が現実で、何が現実ではないのか、だんだんわからなくなっていく。

 

私としては統合失調症の人の世界を見ているような感じがしました。その人にとっては目の前で起きている異変、他の人にとっては順応できる現実。

 

ある意味、バッドエンドとも取れる結末で、悲しくもなったけど、行く末を決めつける終わり方ではなかったので、話の内容も含め想像力が膨らむ物語でした。現実にはいろいろな見方があることを再確認したような。

 

演出が面白かったです。役者全員が2時間ずっと出ハケなく舞台上にいて、それぞれのシーンを演じていく。主人公のモノローグもそれぞれの役者が順番に行う。イキウメではいつも思うのですが、台詞も動きもすごく完璧に統率が取れているなあ、と。暗転も無く、役者が全員役割を交代していって流れるようにシーンが進んでいくのが不自然ではなく、その設計の仕方がすごい。

 

あと、今回の作品には、劇場でしか味わえない演出もあって、それは暗闇の演出なんですけど、話の内容上、劇場で体感した方が世界観を堪能できるなあ、と。

 

そして、照明の演出がいつも美しい。舞台セットもシックで美しい。

 

劇場の中に入ったとき、イキウメらしい舞台セットを見て、久しぶりに劇場に戻ってこられたことを感じて泣きそうでした。

 

役者は、池谷のぶえさんが圧巻でした。図らずも、私の一番最近の観劇はねずみの三銃士『獣道一直線』だったので、池谷さんメイン作が続いています(笑)

 

この脚本は、不思議な世界が見える二人という、ものすごく池谷さんと安井さんに想像力が無いと成立しない世界だと思うのですが、池谷さんはちょっとした感情表現から、人外の影響を感じさせる場面の演技まで、その説得力が素晴らしかったです。

 

安井さんも、もちろんさすがの軽妙で絶妙な演技力で、やはりイキウメの語り手として不可欠な人だなあと再確認。

 

浜田さんは相変わらずかっこ良かったです。ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』に出てた時は歓声をあげちゃいましたが、テレビ以外の生で見られて嬉しかった。

 

あとは、客演の豊田エリーさんがとても素敵でした。声がすごく良い。けなげな妻を演じていて、『天の敵』の太田緑ロランスさんとかぶる役柄でした。前川さんはハーフ系美女のけなげな妻役が気に入っているのかな・・・。

 

観ている間は何も考えずに他の世界に連れていってくれる観劇はやっぱり素敵だな。