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《耳の痛みを和らげる音楽》
アクション映画や、戦争映画をご覧になる方は、
激しい爆発音や、銃撃音の使われるシーンのあと、
すこし経つと、
やさしい音楽、耳の痛みを和らげる音楽が
流れるのにお気づきかもしれません。

耳の痛みを和らげる音楽の
最たるものが、
軍隊の愛唱歌です。

アメリカ(軍)の愛唱歌
「ヤンキードゥードゥル」(アルプス一万尺)と
フランス(軍)の愛唱歌
「澄んだ泉のほとりに」とは
タンパク質の音楽からみて
共通点があります。

レチノイン酸受容体の合成を
促進する音楽が、
いずれの曲にも含まれているという点です。


《音が認識されるメカニズム》
上の二つの写真に、
耳の構造と、
蝸牛の内部にあるコルチ器官の拡大図を示しています。

 音(空気の振動)
→ 鼓膜
→ 耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)
→ 蝸牛

と、振動が伝わります。

蝸牛の内部は、リンパ液で満たされていて、
リンパ液が、振動を受けて震えます。

蝸牛の内部には、コルチ器官があります。

コルチ器官は、
ヒトの場合、2万個もの有毛細胞があります。

有毛細胞は、
リンパ液の振動を電気信号に変換して、
神経細胞に伝えます。

その電気信号は、脳に届いて処理されて、
音として認識されます。


《有毛細胞のダメージを再生する役割を果たすタンパク質》
耳の近くで大きな音を聴くと、
有毛細胞がダメージを受けます。
ひどい場合には、突発性難聴となる場合があります。
コールセンターにお勤めの方など、
顧客からの苦情を受ける際に、
相手の方が突然に怒鳴ったりすることで、
突発性難聴になることがあるそうです。

レチノイン酸は、
有毛細胞を再生するのに、
重要な働きを果たすことが
最近の研究でわかってきました。

レチノイン酸は、
コルチ器官が正常に働くために必要不可欠な物質です。

そして、
このレチノイン酸が機能を発するためには、
結合する相手となる受容体、
レチノイン酸受容体の存在が必要です。

このレチノイン酸受容体は、
タンパク質ですので、
その合成を促進する音楽があります。

アメリカ軍も、フランス軍も
銃声や爆発音で
おかしくなった耳を
再生する音楽を
自ら歌っていた
ということです。


突発性難聴でお困りのかた、
「アルプス一万尺」、「澄んだ泉のほとりに」
をぜひ、試してみてください。


(生命の暗号を聴く 深川洋一著 小学館発行 を参照しました




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