主人公の父親は殺人犯だ・・・しかも拳銃でうったのは機動隊(警官)。
どちらにも息子がいる。
主人公の加害者家庭の息子岳、被害者家庭の警官の息子和馬、それぞれの共通点は剣道。
ストーリーは剣道を通じてということになる。
岳の人生は親に虐待され、父親が警官をうち、その後自殺をし、残された母親と岳は世間の目に耐えながら生活をしていた。
のちに父親そっくりの顔となる息子とも縁を切る母親・・・
正直両親ともクズ家庭で育ってる中、自分は堂々と生きてはいけないんだという自覚の元ただ、生き甲斐は剣道というだけで、必死に生きていた・・・
一方和馬のほうもきれいな殉職者というのではなく、世間では警察によく思ってない輩もいるわけで、ネットでの誹謗中傷をみかけてしまう。
親戚にもちょっとの笑顔でも「父親が死んでるのに笑ってる」なんていわれ、どうして?がつきまとい、それが募って加害者家族への恨みが増す。
どちらの息子さんも剣道がある意味生き甲斐というか、生きる糧になっているなか・・・何の因果か、道場でこの息子たちは出会ってしまう・・・
どちらも有能な剣者で最後の戦いを終え、でも互いに分かり合うことはなかった。
エピローグで最後の秘密が書かれているが、これを知ったとしても和馬の憎しみの炎はきっと消えないままなんだろうなぁ。
よくある題材。
被害者と加害者の構図。
しかも互いに子供同士、親のことに首もつっこめない年齢の子たちまで、被害者・加害者という意識をもって出会ってしまうこの社会。
加害者息子は、親が俺の父を殺したのに謝罪もしない・・・なんていうが、謝罪なんて必要なんだろうか?(本人や妻でもない、まだよくわかってない子供が残された遺族、その息子にまでいつまでも謝罪??許しもしなくせに形だけの謝罪?)
被害者家庭はいつまでもひかげ暮らしで後ろ指さされながらしか生きてはならないのだろうか?
自分が人を殺したわけじゃないのに、いつかこいつも人を殺すと思われるのか距離を置かれたり、それ以上に人殺しの子供家族なら何をしてもいいとすら思ってる世の中の構図が・・・今の社会にもあるこの奇妙さを物語ってる気がする。
今だにそんな考えが当たり前にまかり通っていて、ネットや何やで正義をかざして晒し者にしても許されるみたいな構図もあって、その権利は当事者や関係者以外にはないはずなのに、何してもいいというような正義がまかり通ている怖さをやっぱり感じてしまう。
それはマスコミもしかりだ。
正直和馬のようなやつに警官になってもらいたくはないなぁ。
加害者やその家族も気持ちをも考えられる人になってもらいたい。
ずっと被害者として憎しみをもって、加害者家族は1000年先まで恨まれてもOKみたいな感覚の人にはやっぱり社会を牛耳る人間には不向きだと思う・・・。
いつか、父親がどうしてそういう行動をとったのか、理解して人としても警官としても大きくなってもらいたいなぁ。。
俺の人生は俺のために生きる、岳の最後の気持ち、大事に生きてもらいたい!