妖怪アパートの幽雅な日常① // 香月日輪 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
妖怪アパートの幽雅な日常〈1〉 (講談社文庫)/香月 日輪
¥470
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 「妖怪アパートの幽雅な日常①」


 香月日輪、著。 2003年。



 (=^・・^=)フフフ・・・。 大アタリでした。

高校生が主人公で、妖怪だらけのアパートに入居。

「ああ・・・、コメディタッチの軽い作品だろうな・・・」

と思ったのですが、これは非常に出来の良い

ファンタジィに仕上がっていました♪




 共同浴槽は地下洞窟にこんこんと湧く温泉、

とてつもなくうまいご飯を作ってくれる「手首だけの」

賄いさん― 十三歳で両親を失った俺が高校進学と

同時に入居したのは人呼んで「妖怪アパート」!

次々と目の当たりにする非日常を前に、俺の今まで

の常識と知識は砕け散る。 

 (文庫裏表紙より引用)



 地下の浴場は広々として、しかも温泉!

いつでも入り放題!

賄いの御飯は読んでいるだけで美味しそう!

駅から歩いて十分。

二畳の板間と六畳の和室。

トイレと風呂は共同だが賄い付きで二万五千円!


 住人の人間は、画家と詩人と女子高生とプロの

除霊師(超美形男子)。

それに、・・・妖怪多数。


 主人公は事故で両親を失い、親戚の家で過ごして

いた。 叔父さんたちは良い人だが、やはり肩身が

狭い。 彼は、迷惑をかけまいと頑張って生きてきた。


 それで、寮のある高校に進学して自立を図ったの

だが、運の悪いことに入学前に寮が全焼!

建て替えるまで、と入居したのがこのアパート。


 通称「妖怪アパート」。

 しかし、ここには悪い妖怪はいない。

訳の分からないのは多数いるが・・・。


 このアパートでの様々な出来事を通じて、主人公

の人生観は変わってゆく。

もともと、しっかりした性格ではあったのだが、目に見え

ない心のしこりが徐々に解けてゆく。


 人間より、よほど「人間らしい」妖怪たち、そして

人間の住人たちも心優しい人ばかり。

押し付けの優しさや理屈ではなく、さりげなく力強い

優しさに触れ、成長して行く少年の物語です。



 悲しいことは、悲しんでいいんだ。

 腹が立ったら、怒っていいんだ。

 それが、そうしたところでどうにもならなくても。

 そうすることによって、それは自分の世界の一部と

なって「生きる」んだ。 


 主人公は、そう気付いた・・・。



 奇妙な出来事、怖ろしい出来事、たまらなく切ない

出来事。

その全てに「意味」がある。


 いやはや、「ええ本、見つけた!」。

これは、お薦めです。

面白くて、切なくて、心温まる作品でした。


 ②も必ず読もうと思う私です♪

ああ・・・、こんなアパートなら私も住みたいものです。