チルドレン // 伊坂幸太郎 | みゅうず・すたいる/ とにかく本が好き!
チルドレン (講談社文庫)/伊坂 幸太郎
¥620
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 「チルドレン」


 伊坂幸太郎、著。 2004年。



 伊坂幸太郎作品に対するマイ・ブームは相変わらず

継続中です♪

元々、特定の作者の作品を偏読する傾向はありますが、

最近はすっかり、伊坂幸太郎さんにハマっています。


 エキセントリックな登場人物と、テンポの良い会話。

心理描写はさらりと流されている感がありながら、

物語そのものから伝わる登場人物の心情。


 さらに、最後にとどめの一撃!

伊坂さんに、こころりころりと転がされる心地よさ。

必ず期待に応えてくれると言う安心感。


 いやあ、伊坂幸太郎さんの作品は良いですねえ。



 「俺たちは奇跡をおこすんだ」 独自の正義感を持ち、

いつも周囲を自分のペースに引き込むが、何故か憎め

ない男、陣内。 彼を中心にして起こる不思議な事件の

数かず・・・・・・。 何げない日常に起こった五つの物語

が、一つになったとき、予想もしない奇跡が降り注ぐ。

ちょっとファニーで、心温まる連作短編の傑作。

 (裏表紙より引用)



 いや、今回は「奇跡が降り注ぐ」ことは有りません。


 いつもの伊坂作品は、口当たりの良いカクテルのような

ものです。

その口当たりの良さに、ぐいぐい飲んでいると、実は

アルコール度数が高くて、最後にぐらりと・・・。


 そのような感じの作品ですが、「チルドレン」は、ライト・

ドリンクまたは、ライト・カクテルと言う所でしょうか。


 ファンキーでエキセントリックな陣内に、振り回される

周囲の登場人物たち。

陣内の言動・行動は実に無茶苦茶なもので、いつも

顰蹙を買うような事ばかりなのですが、この男、本能的

に本質をついた言葉を発しているような部分がある。


 まあ、本人は思い付きで言っているのですが、それで

結局事態が収まってしまう。

まるで、平成無責任男のような奴です。


 しかし、その無茶苦茶な言動がけっこう心に響いたり

して・・・、困ったものです。


 陣内は、表面は硬くて、実は裏で少女と浮気していたり

する父親がずっと嫌いで、その自分の気持ちを持て余し

続けて来たのですが、それを克服するのですね。


 「吹っ切れたきっかけとかあったんですか?」


 「殴ってやったんだ」


 「いきなり?」


 「いきなりだよ。 真正面から」


 ・・・・・・。


 そうだったのかあ!

私も、父親を殴ればよかったのかあ!

(私の人生に何があったのかは、問わないように)


 いや、陣内君・・・、普通それが出来ないからみんな

トラウマなどを抱えているのだよ。

小説の登場人物がそれをやっちゃあ、お終いでしょう?


 でも、許せるのだよなあ、この男が言うと・・・。

と言うようなお話です。

う~ん、・・・違うかも知れないけど・・・。


 今回は、最後の最後に予想外の衝撃と言う作品では

ありません。 いつもの、伊坂作品よりずっとライトで

マイルド。


 でも、伊坂ワールドが十分に堪能出来ました。

私は、陣内、結構好きです♪

身の廻りにはいて欲しくないけど・・・・・・。