こんばんは。

俳句のみろく堂オッドアイ猫家登みろくです。

 

まずはお知らせです。

 

ジャジャーン!

ワタクシ、Yahoo!にお店を開きました!

お店の名前は

(↑バナーをクリックするとお店に行けます)

RCサクセッションのナンバー

「いいことばかりはありゃしない」からとってます。

 

お店は非常食と保存水をセットで売っていて

いいことばかりはありゃしないけど

「備えてあればきっと大丈夫義理チョコという思い、

そして「みんなにいいことありますように!乙女のトキメキという思いで名付けました。

 

 

10月の初めに思い付いて、2カ月程度でオープンしてしまいました。

自分で自分を褒めるレベルの行動力…

 

非常食以外にも

独り暮らしの方に助かる(と思う!)セットを用意しました。

一度覗いてみてくださいね^^

 

さて、本日は

池田瑠那さん(澤)の句集「金輪際」をご紹介します。

 

 

瑠那さんも「ねうねう」つながりのお友達です。

ツイッターでも仲良くしていただいており

帯のお写真で初めてお顔を拝見しました。感激!

 

まず、小澤實さんの丁寧な「序」が興味深いですね。

「澤」という結社の俳句に対する姿勢を窺うことができます。

 

序盤、ご自身が好きな月や宇宙の句が惜しむことなく並んでいます。

この人と言えばコレ!というテーマがあるのはいいですよね。

 

それと、これが(あの)澤調というものかな?と思われる句がちらほら。

 

野菊に日当たりぬ花芯のみなれど

版画展見るや背後に作者咳

猫の子の心音速しわれよりも

 

 

私が好きな瑠那さんの句。

 

看板に「見るのはタダ」と書き入れ冬

「見るのはタダ」だよ~と言われれば寄ってしまう

ちょっと品のない人間心理と

それを分かっていて言ってしまう(看板に書き込む)自分のそら寒さ。

と、わたしは取りましたが、

もしかしたら、瑠奈さんは

そんな人間臭さの集まる賑わいに

温かさを感じたからこその「冬」なのかなとも思いました。

 

長所真面目短所真面目や椿の実

こういうリフレインを活かした句、とても好きです。

瑠那さんご本人のことかな、

だれか別の人のことかな

どちらにしても、句は優しいまなざしに溢れています。

椿の実を合わせるところが新鮮でした。

 

 

梅雨晴や文字より落つるチョークの粉

凩や学生寮の黒電話

木製ベンチ水着の尻の痕ふたつ

蠅取リボン垂れて合宿所の廊下

 

この4句、ノスタルジーがたまりません。

瑠那さん、今見てきたの?というような描写です。

黒板とチョークなんて

塾講師のわたしでさえ「最後に見たのはいつだろう?」という気がするのですが

句を詠むと、今さっき自分が見たかのように

サラサラと落ちるチョークの粉の画が思い出せるのです。

 

携帯電話のなかったころは

学生寮の寒々しい広い廊下に

たった一つの共用の黒電話が…

そこでどれほどの大切な会話が交わされたのでしょうね。

(わたしは学生寮住まいではなかったので

「ノルウェーの森」やそのころを描いた映画などで知った景色かな~と

思っていたのですが、そういえば禅塾では黒電話だったような…懐かし。)

 

ベンチに尻のあとがふたつも最高ですし

うちの地元の運転免許合宿場も超オンボロなんですよね。

ああ、懐かしくて、とけてしまいそう。

 

 

竜宮城洗つて金魚鉢に戻す

これは実感がありますね。

水槽に入れるオブジェの家を「竜宮城」と言いきったところが

いいですね。(実際にそういう形だったとしても)

夏の水仕事って本当に清々しくて大好きなのですが

それが竜宮城を丁寧に洗ってまた海に還すなんて

なんとも心躍る作業です。

 

 

月に躁(さわ)ぐ我が細胞や六十兆

 

一読、「月の障り」のことだと思いました。

生理の時は痛みやむくみがありますけど

それって蠢くというか疼くというか

自分でも良く分からない・言い表せない体の神秘を

思い知らされているというような不思議な気持ちになるんですよね。

そんなどうにもならない夜に、大きな月が出ていたら

女性だって「うわー」っと叫んでメタモルフォーゼしてしまいそうな。

この句は確か瑠那さんがTwitterでもおっしゃっていて、

それ以来たびたび思い出して「うんうん」って思っている句です。

 

実際は月の障りの句ではなかったようですが^^;。

 

 

 

「夫、輪禍に遭ひ、二日後に他界。二十二句」と前書きのある句群。

 

「森の座」代表の放川さんが

あるテーマの句を読んで

「当事者でないものが詠むにはまだ早い」ということがあります。

何のために俳句を作るのか?

誰かのためであったり

カタルシスであったり

それは人によって様々ですね。

 

でもこの句群を読んで

ああ瑠那さんが俳句に出会えてよかったと思いました。

俳句のおかげで

この時のことををずっと忘れずにいられるでしょうし

一方で、忘れることもできると思います。つらいつらいことは。

 

私も、俳句に出会えてよかった。

 

火葬待つ間の飲食(おんじき)よ花うつぎ

遺品なる手帳に未来あをあらし

飛びつきて迎へん新霊の君を

我よりの賀状も君の遺品なる

 

 

それ以外に好きな句などはこちら。

 

縄文のこども犬抱く野分の夜

羊皮紙の地図にZIPANGU春隣

ゆふざくらひとに生れひと怖れけり

余花の雨鉄棒に鉄匂ひけり

しまふときトライアングルちよと鳴り秋

雪原のざらめびかりや日当たれば

影絵の城に影絵の王や夏ゆふべ

水餃子むちと噛み切る青葉かな


瑠那さん、素敵な句集をありがとうございました。

 

 

次回は朝妻久美子さんも活躍中!の「現代川柳かもめ舎」の

「現代川柳かもめ舎アンソロジー」を読んだ感想を書くよ!

 

みろくでしたゆめみる宝石