『市役所用地取得議案』可決

 6月20日、『庁舎整備に関する特別委員会』が開催されました。私も委員として参加しました。

 結論からいうと、市役所用地として国有地を取得する議案が、賛成多数で委員会で可決されました。

 昨年5月には同様の用地取得議案は、土地に様々な課題があるという理由で否決されています。

 その後市は今年の1月31日の『庁舎整備に関する特別委員会』で、市役所整備に関する新たな案『市役所機能段階的整備案』(上図)を提案してきました。それに基づき、今回の用地取得の議案を提案してきました。

 今回は前回反対した市民クラブ(自民党系)などが一斉に賛成にまわり、3対7で否決されました。最終的には6月28日の議会最終日での採決になりますが、委員会の賛否が覆ることはまずありません。


 課題は解決されたのか?

 昨年の委員会では、この土地に関する様々な課題が指摘され、その結果用地取得は否決されました。

 松戸駅東口の高台にある、旧法務局跡地は市役所用地としては、高低差、狭さ、周辺道路環境など、この土地に市役所を移転するメリットはほとんどありません。むしろ、約15000㎡の広い現地を活かした現地建て替えこそ、市民のためになると思います。

 しかしながら、今回、これらの課題の多くが解消されるとして最大会派の市民クラブなどの会派は賛成にまわりました。


 土地の狭さは建物を小さくすることで解消?!

 課題として指摘された、土地の狭さ(8745㎡)は建物の面積を減らし、空地が増えるということで解決としています。しかし、建物の面積を減らすことで、結局これだけでは足りず、次の第二ステップで、新たな建物を必要とします。また、第一ステップでは、現地の議会棟、別館は引き続き使用するという計画なので、市庁舎が分散化し、当初の集約化と逆の分散化を悪化させるという案です。す


概算費用も示されない計画

 さらに、『庁舎機能段階的整備案』の中では、概算費用も、今後の内容も一切示されず、あまりにも分からないことが多すぎて、判断が出来ないという指摘も多くの委員から指摘がありました。


移転条例は問わず

そして、さらに大きな問題は、市役所(主たる事務所)を移転させる場合は、条例改正が必要で、その議決は特別議決と言って通常より厳しい賛成(3分の2以上)が必要です。そう言った重大な案件であるにも関わらず、市は今回、『移転条例』は出さずにとにかく用地取得を急いでいます。なぜでしょうか?


主たる事務所とは

 私は一般質問でも、この点を市に聞きました。3月の予算委員会では、主たる事務所とは、判例から「議会棟と市長室があるところ」との見解が示されました。しかし今回、市は「地方自治法上は事務所の明確な定義がない。したがって、『市議会の意見を伺いながら、適時適正な時期に』と考え、議会が当該国有地が市役所の事務所だと考えるなら、柔軟に対応する考えである。」と答弁しました。

 つまり、「議会が賛成してくれるなら移転条例を出す」と言っているのです。驚きです。市役所の場所の正面からの議論もなく、土地購入を急ぐ市のやり方には到底納得出来ません。


市役所を建てないと信義則違反

 さらに、今回は、山中議員が本会議の議案質疑で、土地の利用方法に関する法的な義務について聞いていましたが、時間切れでまともな答弁がなく、改めて確認したところ、国に『市役所用地として買います』と言っている以上、市役所を建てないと、『信義則に反する』との事でした。簡単にいうと、違法ではないが、不誠実ということでしょうか。以前の質疑でも、契約書にペナルティはない、と答弁していました。

 しかし、議会との合意もないまま、土地だけをまず購入する、そして市役所の一部を建ててしまうこと、これこそ、議会にも市民に対しても信義則に反するのではないでしょうか。


ダイエー西口店を仮庁舎に

 さらに、今回は新たな状況として、ダイエー西口店が9月に閉店との情報があり、そこを仮庁舎として使えないか、という事も一般質問で原議員から出されました。しかしこれに対しても市は、仮庁舎イコール現地建て替えなので、それは考えていない、との答弁でした。

 仮に移転するとなったら、最低8年間はかかります。その間、大地震が来ない保証はどこにもありません。本館、新館は耐震がありません。だからこそ、それを理由に段階的整備案が出されたのです。耐震性で安全確保最優先と言いながら、建物が出来るまで、耐震化や仮庁舎などでの対応はしないというのは矛盾しています。


課題解決で一転賛成へ

 したがって私はこの様な問題を指摘し議案には反対をしましたが、残念ながら、反対は原委員、関根委員、私の三名で、3対7で可決されました。

 前回反対した市民クラブ(自民党系)の委員は質疑を全く行いませんでした。市民は前回反対した議員がなぜ今回賛成したのか、その理由こそ聞きたいと思います。

 最後の討論で市民クラブの深山委員が7つの課題のうち4つが解消されたと言っていましたが、質疑の中でそれを言って欲しかったと感じました。


新拠点ゾーン開発と市役所移転ありき

 また、岡本委員も前回反対し今回賛成に回った議員ですが、その理由が「関根委員の質疑への答弁で賛成する事が出来ます。」ということでした。その答弁とは「人の土地に移転する条例は提案できない」と言うものです。これも市の新たな理由でした。

 ここまでコロコロ主張が変わると、その場しのぎ感が否めません。市は結局、「新拠点ゾーン開発と市役所移転」のために、とにかく、用地を取得し、移転を既成事実化する、そして市役所を建ててしまい、移転条例も大丈夫そうだ、と思ったら出す、こんな計画だと思います。

 移転が本当に市民にとって最善であればいいのですが、問題山積ですから賛成出来ません。


 新拠点ゾーン開発も問題あり

 さらに新拠点ゾーン開発も、市の個人同意施行のため事業計画書も会議の内容も明らかにされず、地権者である国と市で粛々と進められています。事業計画書も非公開です。

 その内容はテニスコートは廃止、子どもたちがのびのび遊べるスペースの公園は減らされ、国道6号からの右折レーンの建設やS字道路の斜面を削って両方通行化し、車の交通量は増え交通安全にも懸念があります。貴重な斜面林の樹木も伐採し、生態系も壊されます。

 今後木を植えるとしても、成長するのに何十年もかかります。この計画をどれだけの市民が知っているでしょうか?


移転条例を

 今後市は9月末までの契約締結に向け具体的な手続きをすすめるでしょう。その契約書の内容、そして今後出されるであろう基本設計の委託事業の提案などに注視したいと思います。そして市役所の移転に必要な移転条例を問うべきと改めて求めたいと思います。


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