時計の針を巻き戻すこと11年前
2009年のこと
当時15歳になるちょっと前の
中3のヨッシーです
中学ではこう見えて野球部に所属していました←
ポジションはファーストでしたが
小学校からやっていたわけでもなく
だからといってスポーツが元から得意だったかと言われるとそうでもなく
いわゆる典型的なただのデブだった小学校時代から一念発起して唐突に野球部に入部しました
水泳こそやっていたけどスポーツなんてからっきしだったし
むしろ授業の体育すら嫌いだったし
世の中には動けるデブと形容される運動神経抜群のタイプもいるけど
僕はそんなタイプじゃなかったです
それでも小学生の頃からボールを投げるのだけは好きで近所の公園でひたすら壁あてをしていたのが子供の頃のヨッシーです()
通っていた中学は生徒全員部活に所属しなければならない校則がありました
でも校外で活動するクラブチームに所属している生徒もいるじゃないですか
シニアリーグだとか
スイミングクラブだとか
サッカーチームだとか
そういった生徒向けにトレーニング部なんていうものもありましたが
半数近くは陸上部に所属していました
トレーニング部と言っても半ば帰宅部みたいなもんだし
だったら陸上部に所属した方が走り込みだったりで体力強化だったり下半身の強化も出来ますからね
話は逸れましたが
野球部に入部した僕でしたが
部内で1番下手くそでしたね
中1の夏休みに辛くなって一度逃亡してます
夏休みは部活をサボり
夏休み明けの始業式には参加しましたが翌日に学校行きたくなくなって
家を出た後に学校行ったフリして逃げたこともありました(結構なんやかんややらかしてるんですよ子供時代)
その後そのまま退部したかって言われると実際は最後までやり続けましたし
その話はまた別の機会にするとして
中学最後の中総体
僕はスコアラーとしてベンチ入りしていました
宮城県の某市民球場
僕たちの代から市総体の形式が変わったんです
前年までは東松島総体があったのですが
4校しか出場していなかったんですよね
僕らの代ではそれが石巻に合併されたんです
つまり前の年までは2回勝てば県大会に行けていたのがこの年からは試合数が増えたわけです
それでも僕らの中学校は勝ち進み決勝に駒を進めました
決勝戦は初回こそ3人で抑えましたが2回に捕まります
打ち取ったはずのフライがファーストの少し後方にフラフラーと上がった打球がファーストの選手のグラブの土手に当たりタイムリーエラーで相手に先制されました
それでも同点に追いつき試合は延長戦へ
中学軟式の延長戦はタイブレークが導入されておりワンナウトランナー一、二塁からスタートする形式でした
先攻だった僕らのチームはこれで勝ち越しを決めます
3点の勝ち越しです
後で聞いた話だと
この回チェンジして守備側の選手がベンチに戻ってきた時点で相手選手はもう泣いていたそうです
負ければ引退ですから
中学の野球生活終了ですから
あとはアウト2つ取れば県大会に駒を進められる
そう
何も難しくないんです
アウトを2つ取ればいいんです
タイブレークで始まるからランナーこそいますがアウト1つもらった状態で始まるのだから
極論この最初からいるランナー2人に関してはホームに返してしまっても何ら問題ないのだから
大人の今なら落ち着いてそこまで
言えますが中学生でここまで落ち着いて判断できるかと言われたらなかなか難しいところ
あとアウトを2つ取ればいいだけ
でもそれがどうしようもないくらい
難しくなるのが野球です
甲子園の魔物なんてよく言われますが
魔物なんて何も甲子園限定で住み着いているわけではないですから
あれよあれよのうちに同点に追いつかれ
ツーアウトランナー三塁
グラウンド上のただ事ではない雰囲気は冷静な判断の妨げになり、思考を停止させます
ベンチからは控え選手の声援だったり
監督からの指示だったりが飛んでいるが
ナインにはそれが届いていない
目の前にいるはずの9人は
薄い透明な壁に空間を寸断されているかのように連携が取れなくなっていた
流れは完全に相手チーム
ほんの10数分前まで負けを覚悟して涙を浮かべていた選手達とは思えないくらいのイケイケムード
アウトをあと2つ取るだけの状態で始まったはずが
アウト1つ取るだけでいっぱいいっぱい
尚且つ同点に追いつかれて
なお攻撃は続いている
監督の横でスコアブックを記入している僕も何とか同点で凌いで欲しいと願いながら声を送る
スコアラーとしてベンチから選手に対して何番バッターで前の打席どこに打球が飛んだかを伝える
伝えるがなんだかその声すらもナインには届いているのかいないのかわからないくらい異様な空気だった
僕の近くにいたコーチが声を張る
『セーフティあるから気を付けろ!』
ツーアウトランナー三塁
ツーアウトだったら通常はバントという選択肢はない
ただ意表をついたセーフティはこの状況ならあり得なくもなかった
バッターランナー自身も生き延びるセーフティスクイズがあってもおかしくない
ベンチからは発せられる声は
やっぱりグラウンドには届いていなかったのかもしれない
セーフティあるぞ!と声がかかったはずにもかかわらず初球の入りはストライクゾーンにスーッと入って行った
いつもなら初球ボールゾーンに外す一呼吸を置けるキャプテンで正捕手だった同級生も冷静さを失っていたのかもしれない
サードがチャージしてくる
だがスクイズされた打球はピッチャー脇の一塁側にプッシュバント気味に転がされる
プッシュバント気味にされた為打球が通常のバントよりも強く転がった
無情にも打球はピッチャーの僅か脇を抜けだからと言ってファースト、セカンドの選手が突っ込まなくても間に合うかと言われると間に合わないくらいの絶妙なところに転がされた
この瞬間僕らの中学野球は終わった
部活としての野球は終わってしまった
今年の夏休みは受験勉強に集中出来るなんて敗者の精一杯の強がりに過ぎない
本音はもっと勝ちたかった、もっと野球をやりたかった
これに尽きるだろう
学校に戻ってきてから
解散となったが3年生ですぐに帰ったのはほとんどおらず、みんな残って最後のユニホーム姿でキャッチボールをしていた
どれくらい時間が経ったのかわからないけど職員室から監督から『いい加減帰れよー』と言われるまでキャッチボールは続いた
これが最後のユニホーム
これが最後のキャッチボール
そうなるもんだと思っていた僕らに
ちょっとしたサプライズがあったのはこの後すぐのことだった
tobe continued......
フィクションかノンフィクションかは
皆さんのご想像にお任せします←