「…うー…うむぉがっ…」
目が覚めると、眼前に広がるのは青い空。遠くには入道雲。晴天だ。
ゆっくり体を起こす。
学校、のようだ。私はグラウンドのようなところにいるようだ。
「うー、URLの記入ミス…?私がまさかそんな…」
この電脳生活が始まって、URLの記入ミスはほとんどしていない。
しかも、私を打ち負かす極悪サイトに繋がるなんてまったくなかった。
「しっかし、なんですかここ…」
電脳世界の空は、いつも膨大な情報、電子欲に埋れて汚れていた。
しかしここはどうだ。空に浮かぶ情報は無く、炎を纏う狐も稲妻の鳥もいない。
まるで、体があったころのような…
とたん、体がぞくっとする。
体があったころの、死の冷たさ。
垣間見た崩壊。
また、同じことを繰り返すことになるかと思うと、私の身体から冷や汗が垂れる。
「…まずは状況の把握です。落ち着かないとダメですよね‼」
無理矢理ポジティブシンキングに切り替える。さっきから足を打ったのか、じんじんと痛む。
…痛、い?
ん?
「ん、え、えっ?」
私は身体の下の方を見た。
足を。
足があった。
「えっ、えぇぇぇぇぇ⁉」
いままで、デザイン上の問題なのか、足が正確にいえば弁慶の泣き所あたりから足は消失していた。しかし、今の私の身体には、そこの部分がバッチリ存在する。
そして感じる痛み。
本当に久しぶりの痛みだった。
身体のあちこちをぺたぺたと触る。手に伝わる柔らかい感覚。
まったく状況が理解できない。
「な、なんなんですかもうっ‼」