電脳少女と彼女の夢 | カゲロウデイズと揺れる街

カゲロウデイズと揺れる街

カゲプロ夢小説。
診断メーカーなどをネタに書きます。


私は眠る必要がない。

現在時刻は午前二時半。
夜の帳が、メカクシ団のアジトを覆っている。

私がこの電脳世界に入り込んでから、睡眠欲と言うものは跡形もなく消えた。
体があるころはあんなに疎ましかったのに…

自分が人間から離れてしまった感覚。

「まぁでも、苦しくないですけどねー。」

人間離れしたって、受け入れてくれる人はいる。

ご主人のシンタロー、シンタローの妹のモモ、メカクシ団の人達。

「…まぁ、みんなちょっとずつ人間離れしてますけど。」

エネはディスプレイ越しに自分のご主人の姿を見る。

「ご主人はっと…まったく、のんきに寝ちゃってますねー…。」

シンタローの携帯端末。その中に潜むエネは、そっとマイク機能をオンにする。

いびきがマイク内に響く。うるさい。

「ああもうっ、ご主人うるさい…‼オッサンですか…⁉」

ブツブツと小言をいいながらエネは、今日もまたかすかな最善策を探しに、情報の海を掻き分ける用意をしている。

用意といっても、ストレッチ(?)するくらいだが。

ぐいぐいと体を伸ばしている間、シンタローのいびきの間に、穏やかな息づかいが聞こえてくる。

「…あのニセモノさん、なんなんでしょうか…あれが遥じゃないなら、一体誰…なんでしょう?」

コノハ。遥がつくった、ゲームのアバターそのままの姿。
「うー…ニセモノさんだけがよくわからないっ…」

一生懸命考えるが、わからないものはわからない。

「はぁ…悩んでも仕方ないですよね…」

エネが空中に踊るようにURLを記入すると、そこに楕円の、トンネルが待ち受ける。
「さってっとっ。今日も行きますかぁ‼」


彼女は勢い良く、トンネルに飛び込む。


「ん、んん⁈暗い、よく見えない‼んー…‼」

何故か引きずりこまれる感覚、同時に狭まる視界。
「…‼まっずっ、やらかした…⁉」
視界が真っ暗になる。

真っ暗になる。

真っ暗に。

真っ暗

真っ