日本は、セントバーナード犬を飼育している家庭が少ない。
しかし、その割にこの犬を知っている日本人は多い。
名作アニメの「アルプスの少女ハイジ」「フランダースの犬」に登場したからだろう。
セントバーナードは、スイス原産で17世紀中頃から、アルプスの修道院で飼われるようになった。
当時の修道院は、巡礼者用の宿坊になっていた。
セントバーナードは、優れた嗅覚を生かし、雪中遭難救助犬として活躍する。
20世紀初頭までに、遭難した約2500人の命を救った。
これは、確かな記録に残っており事実なのだ。
セントバーナードは、名作アニメでも描かれた通り、勇敢で人に忠実である。
しかし、セントバーナードに関して、我々は勘違いしていることもある。
セントバーナードというと、ラム酒の樽をぶら下げているイメージが強い。
そして遭難者にラム酒を飲ませて助けた・・・と思い込んでいる。
これは、真っ赤な嘘なのだ!
セントバーナードの樽は、イギリスの画家ランドシーアが創作したもの。
(セントバーナードの絵を、個性的にしよう)
と彼は考え、ラム酒の樽を描き加えた。
すると、これを見た人々に受けた。見た人々は、
(セントバーナードは、救助する時、ラム酒の樽をぶら下げていたのか)
と、信じこんでしまった。
そして、この誤解が、今日(こんにち)でも続いている。
実際は、アルプスの山々で、遭難者を救助していたセントバーナードは、酒樽をぶら下げてはいなかった。
雪中で倒れ、低体温症になっている人に酒なんて飲ますと、逆に危険な状態になってしまう。
山岳救助犬が、遭難者に酒を飲ませる、なんて事は、現実的にはありえないのである。