大阪府の東淀川区。
ここには、歴史好き、好事家にとって、穴場のスポットがある。
穴場のスポットとは、瑞光寺という寺である。
なぜ、穴場なのかと言うと、この寺には、鯨の骨でできた非常に珍しい橋があるのだ。
その橋が、作られた顛末は、こんな具合である。
宝暦6年(1756年)の事である。
瑞光寺の住職が、紀伊の国(現在の和歌山県)の太地を訪れた。
丁度その頃、鯨が不漁で、漁師たちは困っていた。
村長が、住職に、豊漁祈願を頼んだ。
住職は、一旦、
「私も、坊主の端くれ。殺生は五戒の一つ。それは承れません」
と断った。
しかし、不漁で困っている漁民を見かねて、重い腰をあげた。
住職の豊漁祈願が効いたか、鯨が一夜にして、たくさん獲れた。
喜んだ漁民が「お礼です」と、お金と、鯨の骨をくれた。
瑞光寺に戻った住職は、橋板から欄干まで、全てが鯨の骨でできた「雪鯨橋」を作った。
この橋が、「雪鯨橋」と名付けられたのは、雪のように白かったからだ。
「雪鯨橋」は、今も瑞光寺に現存しているが、もう6代目になった。
橋板は、石にかわったが、欄干の方は、鯨の骨のままである。
シーシェパードは、この橋の事を知ったら、どう思うだろうか?
さすがに、壊そうとはしないだろうけど、
「日本の残酷な捕鯨文化の象徴だ。鯨の骨が宗教施設にまであるなんて、あきれたね」
とかなんとか批判しそうである。
シーシェパードは永遠に、この寺を知らぬ方がいいだろう。
瑞光寺
住所 大阪府東淀川区瑞光2-2-2
●アクセス 阪急京都線上新庄駅から、徒歩7分