青山美智子「赤と青のエスキース」

オーストラリアに留学した女の子と、そこに暮らす日本人の男子学生の期間限定の恋の物語。
額縁を作るお店に就職した男性と、その店長との物語。
漫画家と、そのアシスタントでありながら大きな賞をとって売れっ子になっていった後輩の物語。
一旦別れたのだけれど、ひょんなことから再会することになり、そしてお互いの本当の気持ちに気付く2人を描いた物語。
赤いブラウスを着て、青い鳥のブローチを着けた女の子の絵が共通のモチーフになっています。
ちょっとずつつながっている気配を感じる。
あれっ?⋯と確信したのは、あるセリフ。
第四章で彼が彼女に言う言葉。
「堂々としていればいいんだ。
俺は君の気高い生命力を知ってるよ。」
この言い方、前に聞いた。
ページを遡って探すと⋯、
第一章で、レイがブーに言った言葉。
「堂々としていればいいのよ。
ブーの思いやりに満ちた誠実さを、私は知ってる。」
⋯そうだったんだ〜と、ここまでの物語のあれこれが、一つに⋯。
いろいろなことがありながらも、深くつながっていた二人。
ただそばにいるという何よりも深い愛情に気づく二人。
「二度読み必至!」って帯に書かれているけれど、何度でも読み返したくなる、素敵な構成。
「人生は何度でもあるって、そう思うの。どこからでも、どんなふうにでも、新しく始めることができるって。」
「私たちは色を失くしたりしない。色のない世界に私たちはいない。そのときの自分が持つ色で、人生を描いていくのだ。」
⋯などなどのセリフに、勇気がもらえました。
物語もセリフも味わい深い。