朝比奈秋「サンショウウオの四十九日」。

芥川賞を受賞した作品です。
作者の朝比奈秋さんは、医師でもあるそうで、その経験も生かされているようです。
主人公の杏と瞬は、結合双生児。
1人の体のように見えるけれど、半分から別の人間。
二重人格ではなく、2つの人格が交代せず並行して存在し続ける。
一人称の語り口で、杏と瞬が入れ替わり物語を進めていくから、これはどっちが喋っているんだっけ?…と、時々読み直す。
いったい2人はどんな思いで生きているのか。
右と左、体を動かすときどんな感覚なのか。
分からないことばかり…。
そして、そういう体に生まれてきた自分についてどう考えているのか。
自分の身体について考える…ということでは、「私の身体を生きる」も興味深かった。

西加奈子さん、村田沙耶香さん、金原ひとみさん、島本理生さん…といった有名で個性的な女性作家17人が自分の身体をめぐるエッセイを書いたものです。
様々な視点から、自分の身体との向き合い方や、自分の身体にまつわる出来事や、そこから生じた感覚や、周りの人との関係性などが書かれています。
ここでまた、自分の身体について考える。
背がもう少し高かったらな、肩幅がもっと狭ければな、脚がスラリと真っ直ぐだったらな…とか願望をあれこれ考えてしまう。
身体や顔は、選べないしそうは変えられない。
自分の身体は自分の身体として受け入れるしかない。
…と、しみじみ考えた。
痩せた、太ったとか、筋肉のつき方とかは努力で変われるか!