森絵都「出会いなおし」 | 虹がでたなら

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森絵都「出会いなおし」
人々の出会いと別れ、そして再会を描く、6つの短編。
「年を重ねるということは、同じ相手に、何回も出会いなおすということだ。会うたびに知らない顔を見せ、人は立体的になる。」
という言葉が特に印象的であり、この短編集の全ての物語に共通することでもあります。

同じ出来事でも受け止め方や責任の感じ方は人によって違う。
その人のことを分かったつもりでいても、時が経つと見え方が変わることもある。
その人は変わっていないのに。
自分のことだって、人に対しての行動や感情がそのときは正しいと思っていたことが、あとになってどうして?…と感じたり、後悔したりすることもある。

自分のことも相手のことも、出来事の記憶も、時を重ねること、出会いを重ねることでその印象や感情が変化し、形作られていく…。
人との出会いの不思議を感じさせる物語でした。