小川洋子「沈黙博物館」 | 虹がでたなら

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小川洋子「沈黙博物館」

博物館技師である僕は、風変わりで偏屈な老婆に雇われて、静かな村に行く。
老婆に頼まれたのは「沈黙博物館」。
そこに陳列するものは、老婆曰く、「その肉体が間違いなく存在しておったという証拠を、最も生々しく、最も忠実に記憶する品」。
老婆は、村の誰かが亡くなると、死者の形見を盗んできて集めている。

この世の物語とは思えない、なんとも不思議で、ちょっと不気味な雰囲気が漂う小説です。
爆発事件や殺人事件も起きる。
それも静かに…。
そして技師である僕が作る沈黙博物館は、死者の形見の博物館…。
誰かが生きていた証ではあるけれど、ちょっと一人で行くには勇気のいる博物館でしょう…。