芦沢央「いつかの人質」 | 虹がでたなら

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芦沢央「いつかの人質」

宮下愛子は子どもの頃、偶発的に起きた誘拐事件に巻き込まれ、失明してしまう。
それでも前向きに明るく生きてきた愛子。
高校生になり、両親を説得してコンサートに出掛けたところ、再び誰かに誘拐されてしまう。
一方、漫画家の江間礼遠は、失踪した妻、優奈の行方を必死で探していた。
優奈は、かつて愛子を誘拐した加害者の娘だった。
再び誘拐された愛子。その容疑者として疑われる優奈。
なぜ愛子は2度も誘拐されたのか?

1度目の誘拐は故意ではなかったものの、運悪く失明してしまった愛子。
そんななかでも自分らしく生きようと健気に頑張り、やっとの思いで念願のコンサートに出かけたのに、また誘拐にあってしまう。
そしてそこで辛い目に遭い、もう、可哀想でならない。
優奈は夫に離婚届を残して失踪してしまうのだけれど、そこには彼女なりの苦しみが…。
礼遠は優奈が恋しくてならない…。
それぞれが自分らしさ、自分の大切なものを求めながらもすれ違ったりままならなかったりする姿が切ない。
そして急展開するラスト…。
最後まで緊張感が途切れることなく、読み始めたら止まらなくなる物語でした。