
「ぼく」には他の人にはない不思議な力がある。
声を囁く相手の潜在意識に働きかけて、相手を言葉の通りに動かしてしまう能力。
母親は、その力を使うことを禁じ、力をコントロールできるようになるために、同じ力をもつ「先生」のところに通わせる。
が、その力を使うべき時が来た。
大好きな、幼馴染のふみちゃんに悲惨な事件が起き、そのふみちゃんを救いたいと思ったから。
明るく勉強も運動もできて話も面白い、ふみちゃん。
ふみちゃんは、クラスのうさぎ当番を積極的に行っていた。
サボる友達の分も。
そんなふみちゃんが、その日もうさぎの世話に行くと、うさぎが悲惨な殺され方をしていた。
ショックのあまり言葉を失い、学校にも来られなくなってしまったふみちゃん。
残酷な犯人に反省を促し、ふみちゃんを救いたいと思った「ぼく」。
先生のもとに通いながら、どうしたらそれがうまくいくのか探っていく…。
残忍で、相手の気持ちの痛みが分からない人…。
そんな人の心を動かすためにはどうしたらいいのか。
どんな条件を与えたら、そういう人は自分の過ちに気づくのか…。
一生懸命、大切な友達のために悩む「ぼく」が本当に健気。
人を傷つけていることに気づかない、それが悪いことだとは思わない、自分は正しいと思っている…。
そういう人を変えようとすることは本当に難しい…。
「ぼく」と一緒に悩みました。