
戦時中に満州で出会った3人の少女の物語。
親と一緒に高知県から満洲にやってきた珠子。
朝鮮人の美子。
恵まれた家庭の茉莉。
3人で迷子になり、友情が生まれる。
その後終戦となり、離ればなれになった3人は、それぞれ苛酷な運命に翻弄されていく。
中国残留孤児となり、中国人の夫婦に育てられ、やがて日本語も忘れていく珠子。
美子は日本に行ったものの、朝鮮人として差別を受ける。
茉莉は横浜の空襲で家族を失う。
戦争という狂気の中で、3人がそれぞれの場所で遭遇する苦難。
人を狂わせてしまう戦争の姿が淡々と描かれ、淡々と描写されているからこそ、その事実としての残酷さがひしひしと伝わってきて…。
途中は本当につらい。
珠子が、自分が残留孤児であることに気づき、日本に渡り、自分の家族を探したとき、幼少時代のエピソードを手がかりに再会を果たす珠子と美子と茉莉の3人。
生きのびていて良かった…、真面目に、精一杯生きていて良かった…と、3人の絆に最後は救われました。