朝井リョウさん原作の「何物」。

小説を読んだ時には既に配役が発表になっていて、それぞれの役者さんのイメージで読んでいたので、映画の世界にもすんなり…。
イメージの中の役者さんたちが動き出した…という感じ。
就活に追われる5人。
友達の友達…とつながりができ、ひとりの部屋を就活対策本部として、情報交換をしながら就職活動をする。
なかなか思うような結果が出せず、あせり、落ち込み、挫折を繰り返しながらも次に挑む。
私は就活はしなかったのだけれど、こんなに大変なんだな…。
「自分を1分間で表現してください。どんな方法でもかまいません。」
…1分間で…。
何をどう伝えられるのだろう…と妄想。
落ち続けたら、自分を否定されたような辛い気持ちになるだろうな。
この物語は、就職活動の大変さとともに、そこでの仲間との気持ちの交差がリアルに描かれています。
表面状のやり取りとは別の、Twitterでの呟き。
さらにかくれTwitterで呟く本音。
コワイ。
この映画、最後はホラーのようだ…と書かれていたけれど、確かに。
佐藤健くんを追いつめる二階堂ふみさん、コワイ。
そして健くんが裏Twitterで呟いていた冷たいことばがきつい。
二階堂ふみさん演じる「りか」が、Twitterで、がんばる自分を表現していないと崩れてしまう…というようなせりふを言うのだけれど、健くんのTwitterにしても、誰かと比べたり、誰かを批判したり、自分をよく見せたり…、どうにかして自分のあり方や居場所を探そうと、もがく姿が切なかった。
この物語の中で、健くんの演劇仲間だった「ギンジ」の存在って大きいと私は思っていて、これを誰が演じるのかを楽しみにしていました。
が、何故かなかなか姿を現さないギンジ。
出てきた…と思ったら、後ろ姿か斜めからの姿で、決して顔を見せない。
その方が、健くんの心の中でのギンジのイメージを、観客が自由にふくらませられるからのか?…、よくわからないけれど、ちょっとモヤモヤ。
「BECK」の時の、聴いた人を夢中にさせる歌声の持ち主…という設定でありながら、決して歌声を聴かせなかった健くんのことを思い出しました。
あの時と同じようなモヤモヤ感。