「怒り」。

夫婦が惨殺される事件が起こり、現場には「怒」という文字が残される。
犯人は山神という男であることが判明するけれど、その山神が見つけられないまま1年…。
千葉、東京、沖縄で、それぞれ得体の知れない男が現れる。
過去を隠しながらもそれぞれの場所で居場所を見つけ、支え合えるような人に出会う。
けれどもはっきりとはしない過去から疑いが芽生え、山神ではないか?…との不安が生じて…。
正体のわからない男をそれぞれ演じる森山未來さん、綾野剛さん、松山ケンイチさんが、影のある演技で、緊張感を漂わせます。
整形をした山神の写真は、この3人の誰にでも見え、周りの人たちの不安を煽ります。
愛する人を信じたい気持ちと、信じたいからこそ疑ってしまう弱さ、大切な人を守りたいという思い…。
3人をとりまく人たちの様々な心情が切ない…。
特に、娘の幸せを願う渡辺謙さんの父の愛に心打たれます。
その娘・愛子は、原作からすると宮崎あおいさんのイメージではなかったけれど、映画だけ観ればこれはこれで「愛子」でした。
さすが宮崎さんです。
悲しく辛いシーンが多いけれど、そのなかに、本当に強い愛がいくつか貫かれ、最後は希望も感じられました。