「阪急電車」から考える | 虹がでたなら

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わくわく・どきどき・しみじみ…なものたち

赤ちゃんがどのように世界をとらえ、混沌とした感覚の中からどうやって自己を認識していくのか。

…という問題に関しては、いろんな心理学者が諸説唱えているわけですが、
私が信奉するのはワロンです。

この本は、大学時代から何度も読んで、私の本はボロボロ。


身体・自我・社会―子どものうけとる世界と子どもの働きかける世界/ワロン

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ワロンの説では、子どもは、自分とまわりの区別がつかない状態から、他者とのやりとりの中で、自分の存在に気づいていくのです。

他者との関係の中で、自我を育んで行く。
…という考え方が好きです。

なぜこのことを思い出したか…。

有川浩さんの、「阪急電車」、大好きです。
阪急電車 (幻冬舎文庫)/有川 浩


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小説がとても素敵で、映画はどうか!?…と、見てみたら、これがまた素敵。
小説のエピソードが、ぴったりな配役で生き生きと描かれています。

阪急電車の往復の間に、いくつかの出会いがあり、それがドラマチックにつながって、心がほんわかするストーリーです。

この物語から感じたのが、、人は人によって救われる…ということ。
意図的ではなくても。

他の人の何気ないことばから、たわいのない会話から、あるいは思いきっての打ち明け話から…、何かに気づき、自分を知る。

そして、ちょっと前に進む勇気がわく。

登場人物一人一人が、そうやって、見知らぬ人とのやりとりの中で、違う生き方を見つけて行く姿に、ワロンの発達理論を思い出したのでした。

人は人によって自分を知り、社会を知り、世界を知る。
人との出会いの素敵さ、やりとりの大切さをしみじみ感じたのでした。