
明治から現代まで、いろんな作家の、孤独感や苦悩、決意や希望、さまざまな思いがあふれる絵が並びます。
二十歳の頃の私は。
うかれていました。
ひらめきと感情で、人生の重大なポイントをすりぬけて来てしまった。
自分自身を掘り下げることがなかった。
だから人間としての深みが足りない。
…と思うのです。
そんな私に、このひとつひとつの作品は、ずーんと響きます。
そして作品に添えられた画家自身の言葉が、心に染み入ってきます。
生きること、死ぬこと、描く意味、そして自分はどこに向かうのかということに、真剣に向かいあい、考えて悩んで生まれた絵や言葉。
強い力を放ち、圧倒されます。
一番印象に残ったのは、関根正二さんの「死を思う日」。

十数年前、福島県立美術館で初めてこの絵を見た時の衝撃は忘れられません。
向かい風のふく道を、うつむきながら、何か決意を持って歩く人。
風のざわめきと心のざわめきがうずまいているよう。
これを描いたのは18歳。
どんな思いだったのか?
この絵に添えられたことばは…
「力ある物を作らねば、俺は死なない
死に得られない
世に生まれて無意義な生活と、死に云わしたくない
人間で有る以上、もっと自重して
自然を愛せねばならない」
二十歳で亡くなってしまった関根さん。
短い人生であったことが悲しいけど…、力有る作品をたくさんのこしてくれたと思います。
他にも、若くして亡くなった方が多く…、その事実がまた、ひとつひとつ絵の重みを増しています。
15日には、信濃デッサン館の窪島誠一郎さんがいらっしゃって、講演会があります。
窪島さんのお話を聞いて、また改めて絵を味わってみたいです。
興味と時間のある方は、ぜひ…。