男性が書いた恋愛小説は、男性目線の展開に、
「そんなに簡単にはいかないってば!」とか、
「都合が良すぎる!」とか、
突っ込みたくなることがあります。
その点、女性が書いた物の方が共感できる。
林真理子さんの恋愛小説は、女性のいい面もずるい面も、純粋な面もしたたかな面も、読んでいて「わかる!」。
自分の新たな面に気づくこともできる。
そんな林真理子さんが、名作とされる本を54冊、紹介した「林真理子の名作読本」…。
面白いです!!
わずか4ページに、その本のあらすじや登場人物、文章や作者の魅力をまとめてあるのですが、林さんの、人を見抜く力に驚きます。
登場人物の個性や生き方、そして作者の人柄と人生が生き生きとイメージされ、ひきこまれます。
読んだことのある本もあるのですが、自分の感じ方の浅さにがっかりしてしまいました。
また、登場人物や作者の生き方からして、自分はどうなんだ?…と考えると、まだまだだっ…と思い知ります。
林さんのように冷静に、深い洞察力を持って人とかかわることができたら、人に振り回されて自分を見失うことなどないのでしょう。
感性と理性のバランスの良さ…。
素敵です。
どの本も、改めて読んでみたくなりました。
心に残ったことばがいくつもありますが、一番は…。
「どうしようもない人間の理不尽さ、自分ではコントロール出来ない心というものの怖さ。
それはまさしく強く濃い、せつなさというものである。
全くせつなさぐらい説明出来ない感情があろうか。
そして人間は一生これを背負っていくのである。」
本当に、せつなさはままならない。
どうにもならない。