今回、安曇野で一番行きたかったところです。
信州の情報誌「KURA」で紹介されていたのを見て、これは行かなくちゃ!…と、また私のセンサーが反応してしまったのです。
りんごがたわわに実るりんご園の中に、そのギャラリーはありました。
美濃や備前で修業をされたという平林昇さんのギャラリーです。
私が着いた時は、薪にする松の木を割っていらっしゃるところでしたが、ギャラリーに案内してくださり、いろいろお話を聞かせてくださいました。
このギャラリー、ちらしにある紹介文がとても素敵なのです。

「器はやすらぎや希望をもたらすもの」
「この場所からたくさんの出会いと希望を」
そして、「あなたと器にステキな恋が生まれますように」
…と。
…私にとって、器はまさに「出会う」という感覚なのです。
一目惚れします。
そして使いながら、「恋」を深めます!?
そしてこんな素敵なことばを生み出した平林さんは、気さくな方で、作品は、ことば通りやすらぎを感じるものでした。
作品は、備前焼きのものが多く、火の力と不思議を感じるものばかりでした。

薪は松を使って、8日間も焼き続けるそうです!
赤いラインなど模様をつけるのには、焼く時にわらを使うそうですが、
そのわらは、無農薬のお米を作っている方からもらうそうです。
急須は両親用に。

色や肌合いは渋いのですが、シンプルで、ぷっくらした形が和みます。
こんな器で入れたお茶は、穏やかな気持ちになれると思います。
私が「恋」したのは、隣の湯のみ茶碗です。
この器の色の素敵さ。

碧と、青と、灰色が絶妙に溶け合って、夜明けの空のような色。
「黎明」ということばが浮かびます。
ちょうど、同じタイプの器でお茶を入れてくださり、美味しくいただきました!
この色を出すためには、上に薪を乗せて、火が直接あたらないようにするそうです。
火のあたり加減で、こんなにも色が違う…。
面白いですよね!
窯も見せていただきました。

ご自身で造られたのぼり窯です。
まわりに山ほどの松がありましたが、千束くらい使うとのこと…。
気が遠くなるようです。
薪を作るのが何より大変だそうです。
焼き物も、重労働ですね。
そして、平林さんが紹介してくださった他のギャラリーにも行ってみました。
「ギャラリー牧ヶ原」。

平林さんの作品の他、鉄やステンドグラス、家具など、いろいろな作家のおしゃれで素敵な作品が。

洗練された雰囲気の空間です。
手作りの椅子の座り心地の素晴らしさ!
お値段も素晴らしい!
でもこんなに素敵な椅子があったら、一日中、座って読書にひたれそうです!
窓からの眺めがまた美しい。

ここは入館料が必要ですが、飲み物つきなのです。

砂糖入れや豆皿は平林さんの作品でした。
さらに、平林さんのお知り合いの木工作家、宇田川さんの「アトリエ宇(sora)」へ。

「はしっこの心意気」という展覧会中。

いろいろな素材の端材を使った作品だそうです。
「何かになれるはずの、使われないはしっこ」を形にして「何か」にした、と。
くるみのはしっこで作った豆皿を、私の「何か」を入れるものに。

木目が、ハートのように見えるのが気に入りました。
こうして、雑誌の1ページをきっかけに、
出会いを生み出すギャラリーから始まってつながって、
素敵な器、素敵な場所、素敵な人たちに出会うことができたのでした。