才能と個性と信念を持つ絵描きの方々を見出し、支えた洲之内さん。
そのコレクションが展示されている宮城県美術館に、ずっと行ってみたかったのですが、やっとそれがかないました。
気まぐれ美術館に登場する方々の作品には、命と人を感じます。
その人の生き方そのものが表現されたような。
コレクションのうち、展示されていたのは20点ですが、それでも、「気まぐれ美術館」を代表するような、画家、絵ばかり。
「うわっ!!」…の連続です。
洲之内さんと親しかった松田正平さん。

素朴な人柄が浮かびます。
松本竣介さんの「白い建物」。

空と、壁に見られる水色が、何とも深く、そして清らかで優しい色でした。
松本竣介さんの青や緑は、他にない、淋しさと温かさが共存する色です。
さらに松本竣介さんの「ニコライ堂」。

このタイプの絵には、いつも小さな人物が黒く描かれているのですが、これには見つかりませんでした。
…が、いつもの…哀愁が漂うニコライ堂。
鳥海青児さんの「うずら」。

家に飾りたい、とは思えないけど?、洲之内さんがどうしても欲しかったのはわかる…、目が吸い寄せられる絵です…。
長谷川りん二郎さんの「猫」。

ゆっくりゆっくり少しずつ描いて、結局右のヒゲが描き終わらなかった絵です。
ハガキも図録にもなかったので、絵は載せられませんが、広幡憲さんの「ミルク」。
ピンクと紫を主にしたほのぼのした雰囲気の絵…。
可愛い…。
でも、広幡さんの絵にしては明るい…。
右下にはHARUE・KOGAとサイン。
洲之内さんのエッセイの中では、古賀春江さんの絵として紹介されています。
その後、研究の結果、広幡憲さんの作品だと判明したそうです。
どういういきさつが!?
知りたいです…。
そして何と言っても!
海老原喜之助さんの「ポアソニエール」です。

洲之内さんの本の中で、「青くすーっとした絵」と表現された絵。
洲之内さんがどうしても欲しかった絵。
魚の青。
服の青。
緑がかったその青は、神秘的です。
そして、控え目ながらもひたむきな雰囲気を感じる瞳。
しなやかに生きている、そんな印象の女性です。
一枚の絵が、生きる支えになることがある。
…ということを教えてくれた絵です。
洲之内さんと画家の方々とのやり取り、本に出てくるいろいろなエピソードが目に浮かび…、
私はどれだけ洲之内さんが好きなんだ!?…と、しみじみ考えたのでした。