今大学1年で、同じ高校出身の子は5人。2人は知り合いだったが残りの人はあまり関わりがなかったので、人見知りな僕はなんとかその3人とは会わないように、と願いながら慣れないキャンパス内をうろうろしている。

 

 

 1週間前ほどだろうか。2年の時に同じクラスだった武田君を発見した。彼はその5人の中に含まれていない。高校時代のあだ名はTKDであり、あまり仲良くはなかったが関わりはあったのでしゃべろうと思えばしゃべれる関係性である。その後も学食で見かけたり、経済学部棟で見かけたり、しゃべりかける機会を伺いながら過ごしていた。

 

 

 そして今日も英語の授業を理工学部棟で受けたのち、廊下でTKDに出会ってしまった。今回は完全に目が合ったのでもう逃れられない。TKDは目をそらし廊下の端のほうへ体を傾け、僕を避けようとする。ここで僕は一言「武田君だよね」という。

 

 

 TKD「似てる人がいるんですか?」人違いだった。記憶だと約10年ぶり2回目の人違い。僕「え、違うの? すみません間違えました。」TKD(ではない)の似ている人がいるんですかという声までTKDに聞こえたが違っていた。僕は恥ずかしかったので、急いでその場を離れるために小走りで去ろうとしたが、動揺していることを悟られるのも恥ずかしいので顔を赤らめながらゆっくりとその場を離れた。