日経平均株価は前日比414円16銭高の3万5089円62銭、TOPIXも55.00ポイント高の2489.21ポイントと続伸しました。


 日経平均は3日ぶりに終値ベースで3万5000円台回復となりました。


 日経平均先物のシカゴ清算値が6日の大阪取引所清算値よりも安かったことから、サヤ寄せする動きが先行しましたが、下げ渋る動きをみせるなか、日銀副総裁が「金融資本市場が不安定な状況で、利上げを行うことはない」と発言したと報じられると、金利上昇への過度な警戒感が後退し、一気に円安に振れ株高となりました。その後は高値圏での値動きが続きましたが、取引終了にかけて手じまい売りに押され上げ幅を縮小して取引を終えました。


 プライム市場の出来高は32億9536万株、売買代金は7兆3744億円でした。



 業種別では、銀行株や、商社株が上昇となりました。また、証券商品先物株、保険株なども値を上げました。


 一方、ゴム製品株、鉱業株は下落となりました。


 日銀副総裁発言で今日は乗り切れましたが、また、明日どうなるかです。


 


 日経平均あと、5000は回復してほしいですね。


 

日経ビジネス電子版より


・三井物産、三菱商事生き残りをかけて



 ブラジル南東部のミナスジェライス州。ポルトガル語で「あらゆる鉱山」という意味があるこの州は、鉱物資源開発が盛んな地として知られている。足元では、電気自動車(EV)などに搭載するリチウムイオンバッテリーに使うレアメタルのリチウムの一大生産地として注目が集まっています。


 三井物産は、この「リチウムバレー」で90カ所以上のリチウム鉱区権益を保有する米アトラスリチウムに資本参加した。投資額は3000万ドル(約44億円)。第三者割当増資を引き受ける形で出資比率は12%強に。三井物産がリチウム権益を持つ企業に出資するのは初めて。同社金属資源本部の橋本明信新金属・アルミ部長は「バッテリーには様々な金属が使われるが、中でもリチウムはボリュームが大きくてニーズが高い。この2〜3年、争奪戦が激化している」などと強調した。


 資本参加にあたっては、早ければ2024年10月に生産が始まるネベス鉱山で採れるリチウム鉱石を購入できる契約も締結した。今後5年間で、EVバッテリー約100万台分に相当する計約4万トン(炭酸リチウム換算)を買い取る計画だ。


 資源分野で三井物産と双璧をなす三菱商事もカナダの鉱山会社フロンティアリチウムが進める同国のリチウム鉱山開発プロジェクトに参画した。25年までに事業化調査を実施した上で、順調に進めば27年にもガラスやセラミックといった工業用、30年にもバッテリー用のリチウム生産を始める。20年以上にわたって年2万トン規模(炭酸リチウム換算)を供給できる見込みだ。



 三菱商事は、事業化調査が進むカナダのリチウム鉱山開発プロジェクトに参画した(写真=フロンティアリチウム提供)

三菱商事はフロンティアリチウムがプロジェクト運営会社として立ち上げた新会社に2500万カナダドル(約26億円)を出資し、株式7.5%を取得。最大25%まで株式を買い増せる優先交渉権も得た。また出資比率に応じてリチウムを購入できる契約も結ぶ予定だ。


 EVや再生エネ向けバッテリーに使用

三井物産や三菱商事といった大手商社が権益獲得に乗り出したリチウム。ニッケルやコバルトと共にEVバッテリーのほか、再生可能エネルギーの電力をためる定置用バッテリーなどの材料として使われている。重要性が高まる一方、他の鉱物資源と同じく生産地は限られている。


米地質調査所(USGS)によると、世界のリチウム埋蔵量は2800万トンだ。このうちチリが33%、オーストラリアが22%、アルゼンチンが13%、中国が11%、米国が4%を占めている。主にチリやアルゼンチンなどでは塩湖のかん水を蒸発させることで、豪州や米国、ブラジルなどでは鉱石として採掘することでリチウムを確保している。



三井物産の渋谷亮電池原料室長は「豪州はボリュームが出ているものの、コストが高くなっている。一般的にブラジルは鉱山の開発・操業コストが安く、競争力があると見ている」と話す。



三井物産の担当者は「ブラジルの鉱山開発・操業コストは安い」と強調する(写真=三井物産提供)

米IRAが供給網の焦点に

日本は経済安全保障上も、リチウムのサプライチェーン(供給網)をどうしていくのかを考えなければならない。というのも「塩湖がある南米の国はカントリーリスクの観点から長期的な安定性を確保できないかもしれない」(三井物産の橋本氏)からだ。


また鉱石については精錬する工程が必要になるが、このうち水酸化リチウムに精錬する工程を担うプラントは中国に集中している。水酸化リチウムは高性能バッテリーに使われることが多く、日本は輸入量の8割以上を中国からの輸入に頼っている。こうした偏りは中国で先行してEV市場が拡大し、それに併せてリチウムなどのバッテリー材料の需要も増えた結果だといわれている。


米国のインフレ抑制法(IRA)もリチウムのサプライチェーンに多大な影響を与えると見られている。IRAによってバッテリー材料の重要鉱物の抽出や処理などに「懸念される外国の事業体(FEOC)」が関わった場合、税控除を受けられなくなる。リチウムを扱う阪和興業の伴野純一理事は「中国企業から安いリチウムを買ったとしても米国では最終的に割高になってしまう。米国向けは他のルートも考えなければならない」と明かす。


こうした状況の中、北米で精錬プラントを立ち上げようと動く企業も出てきており、三井物産の渋谷氏は「そういうプラントがひとたび立ち上がれば、距離的に近いというブラジルのアドバンテージが生きてくる」と説明。自社で製錬工程を担うことも検討する。また三菱商事が参画したプロジェクトにもカナダで精錬プラントを立ち上げる計画が含まれており、北米のEV市場を念頭に置いている。


価格が下がったリチウム

EVは新たな商品を積極的に試す「アーリーアダプター」の購入が一巡したとされており、需要には一服感が出ている。それに伴ってリチウム価格も下落傾向にある。例えば、QUICK・ファクトセットによると、米ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の水酸化リチウムの先物取引価格のピークは22年12月時点の1kgあたり80ドル台。しかし足元では10ドル台の水準に落ち込んでいる。


エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)金属企画部調査課の小口朋恵氏は「中国のEV需要を見込んで豪州やチリなどでリチウムを増産したものの、EV需要が思ったほど続かずに余ってしまった」と分析。そもそも開発に10年以上かかる金属資源は将来の需要が読みにくいというリスクもある。


それでも、商社関係者からは「失速はしているものの、EV需要は伸びていくだろう。リチウム価格が下がっている今こそ、権益に参画しやすい買い時だ」という声を聞く。35年のEVバッテリーの需要が23年比で7〜12倍に増えるという国際エネルギー機関(IEA)の予測なども出る中、勝負どころを迎えています。