私の母を看取ってくれたスカンセン。

コロナ禍の真っ最中だった。


母の容態がわるくなったとき、

病院に入院しますか?ときかれ、私は迷わずスカンセンで看取ってもらうことを選んだ。


スカンセンには、ずーっと辞めずにいてくださるスタッフの方々がいてくれる。

その安心感、信頼感は半端ない。その方々にお世話いただけるなら、こんなに心強いことはない。


またチーフの原さんは看護師でもあり、その指示はいつも的確だ。


原さんがいつも持ち歩いているバインダーがある。

それにはさまざまな現場のメモが挟まれているようだ。


一度だけ見せてもらったことがある。


それには、私すら聞き取ることが難しい母の言葉を

拾って、どんな会話をしたかがそのまま会話形式で書かれていた。


それを読ませてもらった時は、ほんとに感動した。

生き生きと会話している母は以前と変わらなかった。

こんな状態でも気持ちを伝えられる人がいてくれる。


もちろん母だけではなく、

他の入所者の方々との会話も同様だ。


そんな原さんは、母が亡くなる時

仕事を終えて家に帰る途中、胸騒ぎがしてホームに引き返して、

それで、母の最期に間に合ったのだそうだ。


この原さんの直感の恩恵に預かったのは、母だけではないとおもう。


熟練の勘というか、

慈愛がなせる技というか、

そんなところが原さんにはある。


母は枯れるように自然に亡くなった。


スカンセンで看取りをお願いしてよかったと

心から思う。