2 苦手な人を見方にすることを「楽しむ」

 人は「社会生活」から逃げることはできません。それはあなたも同じことです。人生は一生続く「ゲーム」だと思って下さい。学校では成績での勝ち負けがあるでしょう。スポーツでも勝ち負けがあります。
 社会に出てからも「地位」「権力」「経済」等々、さまざまなことで勝ち負けを経験することでしょう。でもそれは「ゲーム」です。

 楽しんだ方が「勝ち!」だと考えましょう。

 ちょっと現実的なことになってしまいますが、ひとつだけ絶対にやってはいけない「ゲーム」があります。戦争です。
 人間は愚かですね。世界中で「絶対やってはいけないこと」をやっているのですから……。話が逸れました。

 社会にはたくさんの人がいて、数多くの価値観があります。ですから意見の相違が生まれて来て、対立も起きてしまいます。それは致し方のないことかも知れません。
 避けられないことなら「気持ちを変えてしまおう!」という方法です。

 以前、よく知っている人に「嫌われ者と仲良くなる達人」がいました。
 とにかく職場や取引先で嫌われている人に好かれて、味方につけてしまうのです。だからといって、決してその人も「嫌われ者」で、類は友を呼んでいるわけではありません。
 その人曰く「とかくそういう人たちは、自分が嫌われていることを自覚している場合が多いので、一度好かれると結構味方になってくれる」ということでした。

 どうやっているのでしょうか。

 まずは「何でそうなってしまったかを調べる」のだそうです。
 ある役所にいじわるで有名な事務官が居ました。ほんのちょっとした書類の間違いを指摘し、訂正も許さず、すぐに差し戻します。いつも不機嫌で、愛想のかけらもありません。
 彼はその相手を「じっくりと観察」したそうです。そうするとわかったことがありました。その窓口を訪れる業者の方々が結構いいかげんで、書類のミスが多かったのです。そして彼らは自分たちが悪いのにも関わらず「細かいこといってうるさいな~」とかいっていることがわかりました。これではその事務官もいい顔はできません。
 それがわかった彼は、相手にとって見やすい丁寧な書類作りを心がけました。そして、ぶっきらぼうに対応する相手に、めげずにいろいろ質問したのです。「こういう風に変えてもいいですか?」「これは見やすいですか?」

 そうこうするうちに、その事務官が彼には笑顔を見せるようになったそうです。大きな進歩です。

 あるとき、彼が失敗をしてしまいました。窓口に忘れ物をしてしまったのです。そのときの事務官の対応が驚きだったそうです。何と電話で連絡をくれたのです。それ以来、その事務官はいろいろな情報を教えてくれて(もちろん法律に触れるようなことではありません)、彼の仕事に大変役立ってくれたということです。

 まだまだいろいろな実例があったようですが、彼はいっています。「最初は、嫌われている人に近づくのもイヤでした。やっぱり怖いです。でも大抵の人は、実はそんなに変人でも嫌な人でもありませんでした。そのうちそんな人たちを味方にするのが楽しくなっちゃいました」
 相手が「嫌な人」になってしまった理由を考えてあげることと、彼がその観察を「楽しんだこと」が人間関係を変えたのです。


to be continued