
実は、これと同じようなご相談は大変多いです。
このケースは一例にしか過ぎません。もちろんケース・バイ・ケースであり、一概に結論は出せませんが、このケースの場合、ご相談内容からすると表面上で見れば、奥様は悪くありません。お酒を飲んで暴れるご主人が悪いのです。誰が考えてもそうなることでしょう。ご主人がこの状態を改善しない限り、この夫婦関係は破綻ということになります。考えなければならない問題は、そのご主人が変わってきた「理由」です。何故「酒量が増えてきてしまったか」を探らなくてはいけません。
本当に「100%そのご主人が悪いのか」を判断しなければ解決の糸口を掴むことができません。
そしてもうひとつの問題は今、私の目の前には「奥様しかいない」ことです。当のご本人はいないので、ご主人に注意をしたり、たしなめたりはできません。ご主人に変わっていただき反省をしてもらうことができないのです。
それでも内容と判断によっては、事情が許す限り「当事者」にお出でいただき、直接ご相談する場合もありますが、このケースでの私の判断は違いました。
オーラ・リーディングの結果、ひとつの原因が浮かんできたのです。
もちろん、お酒の量が増えた原因は複合的でした。「最近のネット販売の余波を受けて、実店舗販売が減って行き、会社の状態が以前より悪くなってきている」「子どもの進路が親の希望と違って悩んでいる」等々いろいろと感じるものはありました。
でも、もっとも大きい原因は意外なことであったのです。「最近、妻が冷たい」と感じていることでした。
「何だ、それ~!」とのけぞっているあなた……、最近、多いんですよ。この傾向。
つい最近も、自衛官の夫が「出掛けるときに妻が見送ってくれない」ことに不満を持ち、子どもともども奥さんを殺してしまったという事件があったのを覚えていることでしょう。
先のケースでも、同じように「最近、妻が冷たい」と思い込み、「やけ酒に走った」ということが主な原因のようでした。
そこで「奥様とご主人はここ最近どんな会話をしますか。また最近二人で笑ったことありますか」とお尋ねしました。
奥様の回答は「そういえば、最近はあまり話をしていない。まして笑いあったことはほとんど記憶にない」ということでした。ま、三〇年も一緒に居れば、大方はそんなものかも知れませんが。
そこで「では、奥様は何も悪くはないのですが、ほんのちょっとだけ変わっていただけないでしょうか。ご主人に少しだけ微笑みながら話しかけて下さい」とお願いしたのです。
「別にわざとらしくする必要はありません。お帰りなさい。今日は如何でした、くらいで結構ですから」
後日、結果報告のご連絡をいただきました。その奥様は自分でもお気づきになったらしく、本当に素直に実践していただいたようです。「主人は明るくなり、酒量も元に戻り暴れることもなくなりました。離婚をしなくても良くなりました」とのことでした。
to be continued