7/13~7/16の4日間、ジャパンチェスクラシック2024に参加しました。

結果は6.5/7で優勝することができました!

 

リスト、結果 

 

 

棋譜

 

 

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選手、運営、そしてスポンサーの皆様、4日間ありがとうございました!

 

 

印象に残ったポジションを解説します。

 

R3

 

Noguchi,Koji(JPN,2027)-Aoshima,Mirai(JPN,2380)

 

(46. Bb1)

黒が1ポーンアップですが、Rb8を防がなくてはいけません。直前まで優勢に進めていたので、まだリードしていると思っていましたが実際は混戦となっています。

 

46... Qg6 47. Kg2

 

クイーンの横利きでビショップを守ります。時間も切迫しており、見た目より複雑なポジションでどうすれば良いか分かりませんでした。

 

47... Qg8 48. Qd1

 

d1から活用し、ルークやクイーンの侵入を狙います。この2手で白の陣形が急に安定したように思えます。

 

48... Nxc4??

 

これが悪手で、48... Ra6などと我慢すべきです。

 

49. Rb7

 

b7に侵入される手が思ったより痛かったです。

 

49... f5

 

ビショップのh7への利きを止めますがこれくらいしか手がないようではまずいです。

 

50. Qd7 Na5

 

急所のルークにナイトを当てます。次の手が勝敗を分けました。

 

51. Rc7 Qa8+ 0-1

 

Rc7~Rc8が受からず、白勝ちに見えますが51... Qa8+が盲点になりやすいチェックで、52. Kf1 Rxb1+以下メイトに追い込めます。ここは51. Rb5としておき、51... Qa8+ 52. Kg1として次のQxf5~Qxh7#を狙えば白勝ちでしたが、縦に逃げるにしても候補はいくつかあるので難しいところだったと思います。

 

R5

Averbukh,Alex(JPN,2127)-Aoshima,Mirai(JPN,2380)

 

(39. Qg3)

白からは次にNxf5が狙いで、防ぐ必要があります。

 

39... Rxd4 40. cxd4 c3

 

ルークを切ってcのパスポーンを伸ばします。代えて39... Qd3などと守っても40. Qh4でQf6を見せられると苦しいです。

 

41... Qg5 c2 42. Qf6+

 

パスポーンを止めるのは難しいので、黒キングを狙いに来ます。

 

42... Kh6

 

黒からは次にQxf4+ Kh1 c1=Q#のメイトスレットがあるため、本譜の順以外はないと考えていましたが…

 

43. Qg5+

 

ここは43. Qxf5で白勝ちでした。f4を守りつつ、43... c1=Qには44. Qf8+ Kh5 45. Rb5+ Kh4 46. Qh6#でメイトできます。

f5を取れるのがお互い盲点になっておりました。

 

43... Kg7 44. Qf6+ 1/2-1/2

 

パペチュアルチェックということで合意ドローとなりました。

 

 

6R

Aoshima,Mirai(JPN,2380)-Moritani,Sho(JPN,1979)

 

(56. c6)

敗勢の試合を粘りましたが、エクスチェンジダウンでまだ苦しいです。ただお互い残り時間が少なく、判断の難しい状況です。

 

56... Rxf4

 

ここは56... Rc4とクイーンに当てられていたら困っていました。逃げるとc6のポーンが落ちますし、57. Rxg7 Qxg7 58. Qxc458... Rxe3があります。

 

57. Bxf4 Nd5

 

黒としてはナイトで当てつつQxh5+を狙っています。

 

58. Qc2+ Kh8 59. Qg6

 

クイーンをg6で当てることでh4を守りつつNxf4 exf4 Qxf4Qxg7#を用意しています。なんとか窮地を切り抜けました。

 

59... Nxf4

 

これ自体は問題ないですが、59... Qxg6と先にクイーンを取る方が分かりやすかったと思います。

60. hxg6には60... Rc8 61. Be5 Rxc6とcポーンを取ることができます。

 

60. exf4 Qxg6 61.hxg6 Kg8 62. c7

 

ビショップを取ったため、g3のルークが横から使えるようになりました。黒キングはバックランクが弱く、62... Rc8 63. Rd3 Rxc7 64. Rd8#が利かないのが痛いです。白が一気に勝勢になりました。

 

62... Kf8 63. Rd3 a3

 

63... Ke764. Re3+があります。

 

64. Rd8 1-0

 

プロモーションが止まらず、白勝ちとなりました。

5/2~5/6の5日間、全日本チェス選手権が開催されました。

結果は7.5/9Rで、準優勝でした。

 

選手、運営の皆さん、5日間ありがとうございました!

 

 

自分の試合の中で印象的なポジションをいくつか解説します。

 

4R

 

Okabe,Yuma(JPN,1954)-Aoshima,Mirai(JPN,2380)

 

(60...Ke5)

 

ルークビショップ対ルークポーンで黒が駒得している状況です。しかしルークビショップ対ルークのエンドゲームは理論上ドローです。

 

61. Rh8? Kf4

 

61. Kg3とポーンを見捨てる手が正解で、白はドローに持ち込めます。ただし正確にディフェンスする必要があり、それを嫌ってポーンを残しました。

 

62. Rh7 Bg4 63. Rh8 Re5 64. Rf8+ Bf5 65. Rb8 Re1 66. Rb4+ Be4 67. Rb3 Rh1+ 68. Rh3 Rg1 

 

縦からのチェックはRh3とすることで防げます。しかし、h5のポーンがいることでキングの逃げ道が塞がり、今度はRg4#のスレットができています。

 

69. h6 Rg4+ 0-1

69. Ra3ならまだ粘れましたが、69... Rb1 70. Rc3 Bd5 71. Ra3 Rh1+ 72. Rh3 Ra1 73. Rd3 Bf3 74. Rd4+ Be4で黒勝ちです。

複雑な手順ですが、a3,b3,c4を押さえておけば白のルークは横からチェックできるのはd4のみで、するとBe4のときにRd3と戻れずRh1#が受からないということです。

 

 

7R

 

Aoshima,Mirai(JPN,2380)-Otsuka,Shou(JPN,2223)

 

(40... Qd6)

 

黒の攻撃を耐え、反撃に転じたところです。しかしながらクイーンの守りが強力で攻め切ることはできません。

 

41. Ne7??

 

41. Bc4 h4 42. Bd3で我慢するのが正しく、ドローになっていたと思います。

 

41... Bxe4!

 

Nf5+を防ぐために41... Be7の一手だと勘違いしていました。42. Bxe4 Qd1+はメイトされます。完全な見落としでリザインしようかと思いましたが…

 

42. Nc8 Qxd3?

 

ひねり出した42. Nc8が最善の粘りで、対して当然に見える42. Qxd3が良くなかったのは驚きです。

正着は42. Qd4!!で、Qa1+のメイトスレットを作りつつQxe5を防ぐ手です。しかし普通は本譜で黒勝ちなのであまり考えない手だと思います。

 

43. Qxe5+ Kh7 44. Qe7+ Kh6 45. Qf8+ Kg5 46. Qxf2 Qxh3+ 47. Kg1 Qxc8 48. Qe3+ 

 

白はチェックの連続でf2のビショップを取りますが、c8のナイトが落ちてしまいます。最後のお願いのようなチェックですが…

 

48... Kf5?? 49. Qh3+ 1-0

ビショップを守って何事もないように見えますが、c8のクイーンを素抜かれてしまいます。盲点になりやすい筋です。

私は48... Kf6 49. Qxe4 Qxa6で2ポーンダウンなので負けだと思っていました。しかし50. Qd4+ Ke6 51. Qg7としておき、パペチュアルチェックとg6取りを見せておけば黒のディフェンスが難しくドローのようです。

 

R9

 

Tran,Thanh Tu(JPN,2386)-Aoshima,Mirai(JPN,2380)

 

(71. Ka3)

 

クイーンエンディングで、黒は2ポーンダウンでチェックもこれ以上続きません。負けを覚悟しましたが…

 

71... Kc4!

 

最善の粘りで、簡単には終わりません。72. Qxa772... Qd6+ 73. Ka2 Qd2+でパペチュアルチェックに持ち込めます。

 

72. Qc7+ Kd3 73. Qxa7

 

ここは73. Kb4!が有力でした。キングを上に逃げることでパペチュアルチェックの筋を消します。 73... Kc2 74. Ka5 Qb3 75. Ka6 Qc4とクイーン交換を迫る手がありますが、76. Qxc4 bxc4 77. h4 Kxc3 78. h5 Kd3 79. h6 c3 80. h7 c2 81. h8=Q c1=Q 82. Qd4+ Ke2 83. e4 Qa3+ 84. Kb5 Qxg3 85. e5と進むと白勝ちです。

 

クイーン交換したもののプロモーションで再びクイーンエンディングに戻る面白い変化です。しかし白はこの手順以外ではドローになるため、時間切迫の中では困難です。

 

73... Kc2 74. Qh7+ Kxc3 

 

ポーンをお互い取り合いましたが、Qxb3#のスレットが残っています。

 

75. Qg7+ Kd3

 

76. Qd4+ Qxd4 77. exd4 Kc3 78. Ka2 Kc2 79. Ka3 Kc3はドローです。白はクイーン交換に持ち込めないのが痛く、キングの安全性を確保できません。

 

76. Qe7 Qa8+ 77. Kb2 Qh8+ 78. Kb1 Qxh3

 

h3のポーンを取ればe3,g3にも当たっており、白はポーンアップをキープできなくなります。

 

79. Qd6+ Kxe3 80. Qc5+ Kf3 81. Qxb5 Kxg3 82. Qb3+ Kh2 83. Qxh3+ Kxh3 1/2-1/2

 

 

最後はキングのみとなり、ドローに持ち込みました。


 

四間飛車対穴熊から、終盤の図を迎えました。

 

駒割りは金銀と角桂の交換、玉形は攻め駒から遠い先手の方が堅いです。穴熊の遠さが生きそうな展開で、自信はありませんでした。

 

△4八竜

 

▲2五角のラインから避けつつ金に当てる手でしたが、これは危険でした。ここは△5一金引とするしかありませんでした。

▲2二竜△4二歩▲4三歩でまずいと思いましたが、△2一歩(参考図)が受けの好手です。

 

竜の利きをそらす手筋で、▲2一同竜△4三歩▲4二竜△7一玉と引き、怖い形ですがすぐに潰れることはありませんでした。

 

▲2二竜

 

金取りは逃げてくれません。狙いは▲5二桂成△同金▲7二金です。

 

△3二歩

 

△5一金打としたいのですが、▲1五角△7八竜▲5一角成△同金寄▲5二桂成△同金▲7二金△6三玉▲8二金(参考2図)で負けです。

 

後手玉は▲7二銀△5四玉▲2四竜以下の詰めろで先手玉は▲7九金などと補強すれば寄り付かなくなるので、これは勝てない形です。

 

▲1一竜△5一金打

 

手順に香を補充され、後手は受けているだけなので苦しい形です。

 

▲5二桂成△同金上▲4四歩

 

△7八竜▲4三歩成△同金▲6三香を見せています。後手としては△4一歩で竜を止めるのが楽しみでしたが、それも消され、駒損している形なのではっきり苦しくなりました。以下は粘りましたが押し切られました。