家を出てペダルを漕ぐ。
見慣れた風景が颯爽と通り過ぎていく
 冷たい風だがひんやりしてて気持ちいい。

そんな朝


子供を幼稚園におくったお母さんだろうか
一見重たそうな電動自転車をゆっくり漕ぎながらもガムを噛みながら僕の前を横切る

交差点では黄色い旗を持った
おじさんが生徒たちと挨拶を交わす

雲の切れ間から青い空と
 太陽の陽射しが一瞬だけビルの窓を弾き
僕の頬にあたった

「おーい 兄ちゃんどこまでいくんだ?」

後ろから声が聞こえた
聞いたことのない声だけどその質問が
確実に僕にぶつけられたという事は
なんだかハッキリと分かった

振り返るとやっぱり見たことない
人間が僕をみている

定年退職をして
悠々自適という言葉が似合う
サングラスを掛けたスポーティな男性
が僕を見ている

マウンテンバイクを乗りながら
僕のすぐ後ろを並走していた

「あ、えーと新宿の方です」

その質問からどのくらいの間があったか
わからないがその答えに返し男性は

「そーなんだ!俺はね…代々木公園!」


キャッチボールは終わらなかった



「あーそうなんですねー」

と気持ちのこもってない返しに対し
男性は

「なーこのタイヤ 見てくれよ。太いだろ?
これ アスファルトは走り辛いけどさ
公園のデコボコ道とかは気持ちいいんだよ」
と続く。


たしかにふつうのマウンテンバイクのタイヤに比べてると気持ち太く見えた

だけどそれがどうした?

とも口には出せない。


そう思いながらも朝から元気なこの方と
そしておそらく
方角的にはこのまま青梅街道をしばらく
一緒に走り続けることになるだろう


そう思うと 怠さを感じた

たぶん この手の方は
公園でも勝手に話しかけるタイプだ

嫌いじゃない。苦手でもない。


でも 今はそんな気分でもなかった

低血圧の僕にはちょっと荷が重たかっただけ。


そうこうして信号で止まるたびに
たわいもない男性の話が僕に投げられる

(はぁ……朝からなんなんだ…)

しばらくして後ろを振り返る
中野坂上を過ぎたあたりだった




男性は満面の笑みでこちらを見ている。

そして僕にこう言ったんだ


「代々木公園ってこっちであってる?」


ガブリヨリライブのアンケート結果が出ました



「親指の指紋 いかがですかー?」


11月 ガブリヨリライブのお知らせ

11/21 水曜日


@新宿バティオス
開場18:30 開演18:45 
ちゃんと開演19:00
料金 ¥1000-
SHUプロモーション所属芸人
&
ゲスト「他事務所所属芸人」