「今日はXデーだよ」
木更津駅に到着すると
とても1月の終わりを感じさせない
優しい風が頬をなでる

都内から電車で90分
途中 窓から見える街並みは
空が広くどこかで見たような
田園風景に懐かしさをおぼえながらも
人影が少なく寂しげな枯葉達が
風に舞っている

駅に着き
車に乗るとまだ余裕あるから
「観光でもする?」と予想外の質問が飛び
はやく自分としては竿を出したい気持ちを
抑え「そうですねせっかくなんで」と
車から見える街並みに心の中で
あまり期待しちゃいけないなと呟いた

着いた場所はキャスティング木更津店だった
考えてみたら日本橋店以外のキャスティングは
行ったことがなく駐車場の広さ
そして店構えからおもわず車内で
大きな声を上げてしまった

店内を隅々までチェックして
通路の広さや商品スペースのゆとりに
羨ましさを感じてお店をあとにした

陽は傾き始め
Xデーのピークを迎える時間まで
あと1時間ちょっと

右折レーンに入りふと目に飛び込んできたのは
車が通るようの陸橋なのか観光用の陸橋なのか
区別がつかないものだった

どうやら何年か前に木更津をテーマにした
有名な映画にも使われた
観光用の陸橋と言うことで興味がそそられ
駐車場に車を停める

そこには夕陽が今日1番の輝きを見せ
遠くに見える横須賀のシルエット
そして目の前を走る大型船が波しぶきを上げ
港へ帰るところだった

「写真撮ろうか?」
と言われ夕陽をバックにお願いしますと
リクエストしたその矢先だった

ふと身体が軽くなり 何かに引っ張られた

無重力なんて経験した事がない
いったい自分の身に何が起きているのか
わからないが気がつくと先ほどまで見ていた景色は砂粒のように小さく空気をさく音と身体の抵抗をいっさい受け付けないほどの引力に引きつけられあっという間に私は吸い込まれていた

私は吸い込まれていた


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この地球上にはまだ知らない
自然のいたずらが存在する

そうブラックホールならぬ
ブラッディオレンジホワイトホール
と呼ばれるものがあると
ブラッディオレンジホワイトホールの客室で
初老の男性は言った

君が見たものは夕陽ではなく
見るものを感動させ
その余韻に浸ってしまったものを
飲み込む巨大な穴
それがブラッディオレンジホワイトホール
なのだと。

「知りませんでした」
素直に応えるとその男性は
客室をあとにしその部屋に残されたのは
僕と白髪混じりの小汚ない紙袋を持った
男性であった

「僕初めての経験なんですがこんな事あるんですね?」と言うとその紙袋もった男性は
「おう、そんなことより俺 船で来たんだよ。」
と答えた。

ハッと脳の海馬から記憶の引き出しが開く音を立てすぐに思い出した


こいつ前回のブログで出て来たやつじゃん!!

木更津釣行の記録は次回へ繋ぎます
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braddy orange white hole!