言えない言葉 | 15でオカマ オカマで女優

15でオカマ オカマで女優

ドラマチックに咲いてほしい性転換後

9年前の今日、8月1日(水曜日)
私は男の子に初恋をしてしまいました。

相手は当時流行っていた“千と千尋の神隠し”のハク。

とても大人っぽくて(かといって大人じゃなくて)、
テキパキリードしてくれる彼に
とってもドキドキしていたのを覚えてる。

心臓の音が他人に聞こえてしまいそう、とはまさにその通りで、
私は隣の座席のいとこに
心臓の音が聞こえないように胸を押さえていた。


私はハク以来
好きな人が出来るのを待っていた。
恋する自分に恋したい。

あれから9年間、
私は前よりずっと女の子になった。


こんなことをいうと当事者の方は
怒ってしまうかもしれないけれど、
私は手術で性別を変えれた場合に一番やりたかったのは、
好きな人に告白したかった。

普段誰にもこんなことを言わないけれど、
口に出しても何もならないけれど…。

ひとつだけのあてだったのは性別を再判定する手術。
でも、私は先生にも手術の後で一番やりたいことなんて言わなかった。

私は別に女の子になった自分を好きになって欲しい、とかじゃなくて、
ただ一度片想いでもちゃんと女の子として、
相手に想いを抱きたかったんです。


私が男の子を好きになったら、
どうしても自分の性別が気にかかる。
なんだかあなたに嫌われそうで…。



学校のみんなはメールとかクラスとかで
好きな男の子に話しかける。

それが、“好き”の気持ちをお互いで結びつける第一歩なのでしょうね。
それが普通のやり方。

私は私が誰を好きかなんて噂してほしくなかった。
そんな噂をされるのが嫌だった。



本当なら、四月で手術をして私は新しい学校にいたはず。
れっきとした女の子として、体もちゃんとして。

そしたら、普通に告白をして
普通に誰かとお付きあいをしていたんだろうね。

いま思うと…空しいね。


私はいまの学校に入って
周りの女の子のように、意中の男の子に「好き」とも言えなかったけど、
話すことすら出来なかったけど、
あなたの姿を見てときめいた時間は宝物だった



隣の人に知られないよう
胸を押さえたあの日から
9年たった今でも
私は言えない言葉を胸に押し込んでいる

学校の誰がどう噂をするでもなく
私は気持ちを胸にぎゅっと押さえて
誰にも知れないようにしている

本当はずっと言いたいことがあった
たくさん話したいことがあった

言えない言葉を押し込んで
手で胸を押さえても
途方に暮れる夜が嫌い