先日コーラングレ(cor anglais)の紹介をしましたが、その先祖の楽器がオーボエ・ダ・ガチャ(Obe da caccia)です。

 

Oboe da caciaの画像

 

コーラングレ(イングリッシュホルン)の先祖は、オーボエと思われがちですが、実は、ホーン系統すなわち角笛などから進化したと言われています。

 

この楽器は、おそらくドイツのライプツィヒでJH Eichentopfによって発明されました。

オーボエダカッチャについて最初記録されているのは1722年に作曲家ヨハン・フリードリヒ・ファッシュがライプツィヒで「Waldhautbois」とういう楽器をツェルプストの宮廷の為に製作依頼したというもので、Dahiqvistは、「Waldhautbois」は、Oboes da cacciaそのものであったと記しています。

Oboe da cacciaを最初に使用したのは、1723年6月24日に上演されたバッハのアリア”Ihr Menschen, ruhmet Gottes Liebe, BWV 167"であり、バッハは、Oboe da cacciaにとって最も重要な作曲家であり、頻繁に曲に取り入れました。

oboe da cacciaは革で覆われた木製で、大きなベルを持ちます。(ベルは真鍮製のものもあり)


通常、2つの真鍮のキー、E♭とCがあり、E♭キーはどちらの手でも使用可能で、ソプラノのバロック様式のオーボエと同様に、通常2つのツインフィンガーホール、G / AフラットとF / F#があります。

その構造は、他のほとんどすべての木管楽器とは異なります。まず旋盤で穴と外形の輪郭を作成し、次に側面から穴に沿って一連ののこぎり溝を作ります。それから蒸気の上で曲げられ内側のカーブを形成し、切り溝に残っている裂け目はすべて埋められ、湾曲した部分は革で覆ます。


Oboe da cacciaはダブルリードで演奏され、音はとてもまろやかでしなやかです。

Oboe da cacciaはバロック時代後期にしか使われず、その後20世紀の本格的な演奏への関心が復活するまで使われませんでした。


コーラングレは 1720年ごろにシレジアで、ブレスラウのヴァイゲル家により、Oboe da caccia式の曲がった管体にあわせて球根形のベルをつけたことに始まるとされていますが、単純にそこからのみ進化したわけではなく、他の木管楽器の影響も強く受けています。
 

バッハの後、オーボエダカッチャはすぐに使用されなくなりました。
その正確な音と構造に関する知識は失われ、そして、かつてOboe da cacciaと信じられていた楽器は全く別の楽器か、またはその一部だけを使用しているものと証明され、20世紀前半の学者の共通認識は、「バッハの時代のOboe da cacciaは、失われた」ということでした。


JSバッハの完全なカンタータを記録するTelefunken Recordsプロジェクトのおかげで、Oboe da cacciaへの関心は1970年代初頭に復活し、それから、古楽器に流用された部品、博物館に保存さていた近親の楽器等から、1973年後半、ドイツは最初の現代のコピー作成に成功しました。