TOKYO ECO & ORGANIC LIFE


 チェルノブイリ原発事故で放射能汚染された土壌を

 菜の花とひまわりで浄化する実験が行なわれていることはもはやご存じの人も多いと思う。


 昨日、放射能数値が高く避難区域になった福島県北東部30キロ圏外の飯舘村で、

 汚染農地の放射性物質を取り除く実証実験 を農林水産省が始めた。

 この実験では、飯舘村の計3ヘクタールの水田、畑と牧草地に土壌中の放射性セシウムを吸い上げる

 とされるヒマワリと、種子が雑穀となるアマランサスを畑で栽培し、吸収効果を検証するというもの。


 目的が少々違うが、福島県のほぼ中央にある須賀川市でも、作付けが困難になった水田にひまわりを

 植えてひまわりの町にし、復興のシンボルにしようというひまわり咲かそうプロジェクト がスタートした。

 このプロジェクトには、すべての人がひまわりのように笑顔で上を向き、

 前向きな気持ちになることができるようにという願いが込められている。


 菜の花とひまわりが果たして放射性物質を除去できるのか賛否両論だ。 

 アメリカのある大学ではファイトレメディエーション といって、植物による環境修復の研究が行なわれている。

 ファイトレメディエーション(Phytoremediation、フィトレメディエーションともいう)とは

 植物が根から水分や養分を吸収する能力を利用して、

 重金属で汚染された土壌や地下水中の汚染物質を吸収し分解する技術のこと(Wikipediaより)。
 微生物、菌類、植物、またはその酵素を用いて有害物質で汚染された自然環境を有害物質のない

 元の状態に戻すバイオレメディエーションの一種である。

 

 植物を使うため、従来の機械装置に比べると低コストで大気浄化の効果の可能性もあり、

 低濃度・広範囲の処理が可能なことから、環境問題の画期的な解決方法として注目視されている。

 これとは反対に、ファイトレメディエーションには運用期間が数ヶ月、数年、数十年と長いこと、

 自然環境に左右されること、植物は吸収力に限界があることがデメリットとして上げられる。


 TOKYO ECO & ORGANIC LIFE

 福島の土壌汚染に当てはめると、日本は国土が狭く人口が多いため浄化に時間がかけられない。

 また、何年も何十年も農地が使えないとなると、収入源を絶たれた福島県の農家は廃業せざるを得ず、

 農業に伴うその他の産業、例えば農作物を運搬する運送業、農作物の卸売業などにも影響がでてくる。

    

 そこで、ファイトメディエーションのデメリットである運用期間が長いことと、

 植物の吸収力の限界を改善するために遺伝子組み換え技術を取り入れる実験が行なわれている。

 要するに遺伝子組み換えによって吸収力を高めて、運用期間を短くする植物の種を作るのである。


 遺伝子組み換えと書くとアレルギー反応をおこす人も多いと思う。 私もその一人だ。

 長い間食べ続けて大丈夫なのか、アレルギー性はあるのかなどの安全性が確認されていない

 遺伝子組み換え食品を生活に取り入れることは私はしたくないと思っているし、実際そうしている。

 しかし、土壌浄化に遺伝子組み換え技術が役立つのであれば、

 その遺伝子組み換え種の植物を食用にしないことを条件に是非この技術を役立ててほしいと思う。


 前出の須賀川市には有機いちご園があり、隣接する村には有機ブルーベリー園がある。

 数年前家族で初夏にはブルーベリー狩り、冬にはいちご狩りをしたことがあった。

 ブルーベリー畑はなだらかな山の中腹にあり、シラサギが木に巣を作りコロニーになっていた。

 水田にいるカエルや小魚や昆虫を餌にしているサギがいる生息地は自然環境が良好な証拠。

 今年また、ブルベリー狩りに家族で行く予定だったのだが、原発事故で中止。

 この有機農園も放射性物質汚染で有機ではなくなっている可能性もある。

     

 今回飯舘村の農地に蒔かれた種が、

 果たして遺伝子組み換えされた吸収力の強い品種のものであるかどうかは分からない。

 しかし、この実験が功を奏し、のどかな幸福度の高い農村地帯だった飯舘村で一日でも早く

 農業や畜産業が再開出来るようになる日が来ることを祈っている。

 そして、福島の有機ブルーベリー園や有機いちご園で果物狩りが楽しめる日が来ることを願っている。


 *放射生物質除去にため、菜の花の遺伝子組み換えは致し方ないと書いたが、遺伝子組換え作物の自然界での自生と、

   他の植物との交配が自然の生態系を乱すことからやはり賛成はできないという結論に至った。


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