私は医学部時代、一人暮らしをしていました。
一人暮らしを始めてから3年し、上の階に入居した人の早朝から始まるピアノの騒音のため、引っ越しをしました。
その時に住んでいたのは、伊勢原駅近くのマンションで、2DK。家賃は8万5千円。
駅前の不動産屋を介して借りていたのですが、引っ越しで返ってきた敷金はゼロ。
明細で見ると、ハウスクリーニングや畳だけでなく、キッチン清掃など細かく色々なところを引かれ、ちょうど敷金がなくなるようになっています。
意義を申し立てたかったのですが、父がオーナーを調べたところ
ヤ○ザ
当時の私はまだ大学5年生。
学生生活もあと2年は続くのに、嫌がらせをされたら困る
ということで、残念ながら敷金は泣き寝入りすることに。
私が次に引っ越した先は、オーナーが農家で地主さんという物件でした。
伊勢原駅からバスで10分ほど。
田んぼの中に建てられた新築、3LDKのテラスハウスです。(なぜそんな大きな家に一人暮らしかというのは置いておいて、)家賃は12万ぐらいだったと思います。
2年ほど借りていましたが、最後の1年は私が6年生になって、授業もあまりなく、都内の実家に戻っていることが多かったため、ほとんど使っていない状態。
部屋は非常に綺麗なままでした。
3LDKだったので、そもそも使っていない部屋もありました
退去するときに立ち会ってくれた地元の不動産会社の人も
とっても綺麗
と言ってくれたし、敷金はほとんど戻ると思っていたら、貸し主側からの予想外な反応。
敷金だけでは足りない‼️
と言ってきたのです。
不動産仲介の方がいくら説明しても、貸し主側は
新築で貸し出したのだから、新築で返せ
という主張で、和室の畳を変えただけでなく、襖を変え、居間は壁紙を張り替え、ピカピカの状態にしたらしい。
ちなみに、私はスモーカーではありませんし、壁紙は画鋲を刺したこともなく、綺麗でした。2年の経年劣化だと思います。あの状態で壁紙を張り替えるのはおかしいと思う。
(ちなみに画鋲を刺しても敷金からは引かれないらしい)
お世話になったお礼として、新しい畳の代金を払う
というものは、慣習的にあるそうですが、本来は、それも払う必要はありません。
敷金を全額取られるだけでなく、勝手に張り替えた壁紙代金まで支払いを要求されるのは、さすがにおかしい🤔
今回の貸し主はヤ○ザではなく、農家の地主さん。
そんなわけで、大学を卒業直前だった私は敷金の返還を巡って、
少額訴訟
をすることにしました。
少額訴訟手続とは,60万円以下の金銭の支払を求める場合に限って利用できる,簡易裁判所における特別の訴訟手続です(民事訴訟法第368条第1項)
少額訴訟は、個人間の金銭問題や、敷金返還などに利用され、1回の期日で審理が終わることから、通常の訴訟より短期間で問題解決を図ることができます。
手続きを弁護士に頼む人もいますが、少額訴訟を起こす人の大半は、自分一人で手続きを行うそうです。
私は当時27歳でしたが、全ての手続きを一人でやり、少額訴訟にかかった費用は、30万までの訴訟に対する裁判費用、数千円のみでした。
(今だと30万までの訴訟にかかる費用は、3000円らしい)
私が借りていたのは神奈川県の物件でしたが、私は東京の簡易裁判所に訴えたので、決められた期日に、東京で簡易裁判が行われました。
敷金についての基礎知識として、経年変化・通常損耗の回復費用は家賃に含まれているので、借主はすでにこれらの回復費用を支払っています。そのため、別途、請求することはできません。
つまり、私のケースのように、壁紙や襖を勝手に取り替えて私に請求することは、
もちろん出来ません
業者によるハウスクリーニングの負担については、ガイドラインでは貸主負担となっていますが、賃貸契約書の特約として入居者が負担するよう明記されているケースも少なくありません。
私のケースでは、お世話になったお礼として、ハウスクリーニングと、新しい畳の代金は認めるという和解提案に
どうしても襖代金は払え
という貸し主側からの要求があり、結局それを私が飲む形で、即日結審しました。
和解しないと通常の裁判になって面倒ですし、すでに研修医だった私は時間もありません。
敷金の半分を返してもらえたので、27歳の私としては上出来だったのでは?
と思います。
皆さんも、不当な要求で敷金を諦めないようにしましょう。
少額訴訟はけっこう簡単ですし、かかる時間も費用もお手頃です。