皆さんは
カサンドラ症候群
という言葉を聞いたことがありますか?
アスペルガー症候群であるパートナーや家族とのコミュニケーションがうまくいかず、わかってもらえないことから起こるストレスや抑うつ。また、世間的には問題なく見えるアスペルガーのパートナーへの不満を口にしても、人々から信じてもらえない。その葛藤から精神的、身体的苦痛が生じるという仮説。
アスペルガー症候群は男性に4倍多いため、よくあるパターンとしては、
アスペルガー症候群の夫と、カサンドラ症候群に陥る妻。
カサンドラという名前の由来は、ギリシア神話からきています。カサンドラは予言が出来ますが、カサンドラが真実を知って伝えても、人々から決して信じてもらえないという呪いをかけられていました。
可哀そうなカサンドラ。
今回は私のカサンドラ体験 です。
彼は子供の頃からアスペルガー症候群と診断がついていて、ネットなどでそれを自ら公言していますが、正直一緒に生活するまでは
ちょっと変なところはあるけれど、優しい良い人
と思っていたし、周囲の人たちは口々に
優しい人でよかったね
など、彼を誉めてくれていたので、私も何とかやっていけるだろうと思っていました。
でも、結果は大間違い
一緒に生活を始めると、とても辛かった
理由は共感能力の欠如や、空気が読めないと言うアスペルガー症候群の特性を持つ夫との日々からのストレス。
ちょっとしたことでも、全くわかりあえないことが多々ある
表面的な付き合いしかせず、本当の友達がいない(欲しくない)夫の本当の姿を知っている人は、ほぼゼロで、相談できる人もいませんでした。
彼が言うには、
「こう言ったら、普通の人はこう思っているからこう答えればいいらしい」
色々なパターンを経験則で記憶 していき、それに頼って行動している。相手がどう感じるかなどの気持ちははわからない。
記憶ゲーってことですね・・
だから表面的には良い人で、深く付き合うと違和感を感じる。
共感能力の欠如 があるので、人の気持ちは分からないからです。
Twitter上で、彼を「優しい人」と持ち上げているのを見ると、
みんなあの演技に騙されるんだなぁ・・・
と思います。
彼は悪いことをしているとは思っていないので私がイライラしているのに戸惑い、ストレスをためます。
でもちょっとしたこと、定型発達なら言わなくても通じることが、通じないのはストレスです
具体例をあげてみましょう。
私たちは当時、四谷三丁目の駅から数分のところに住んでいました。
私 仕事帰りに待ち合わせして食事しよう
彼 それじゃ四谷三丁目で
私 (駅から数分のところに一緒に住んでいるのになぜ駅で?外食が嫌なのかな?)
それじゃ家で待ってるわ
彼 なんで家なの?
私 四谷三丁目の駅では待ち合わせしないよ。仕事が何時に終わるかもはっきりしないのに
彼 それじゃ表参道なら?
私 駅で待つよ
彼 新宿は?
私 駅で待つ
彼 四谷三丁目は?
私 家で待つ
彼 何で?同じ駅でしょ??
私 だって駅のそばに一緒に住んでるんだよ??家で待てばいいじゃない
彼 何で?みんな駅でしょ?
ここから地獄の押し問答 が始まります。
彼は、なぜ同じ駅なのに四谷三丁目だけは家で待ち合わせなのか、納得がいかないと繰り返す。
最終的に出した結論は言い方を変えること。
私 今後も四谷三丁目駅で待ち合わせをすることはありませんが、他の駅では待ち合わせ可能です。
彼 それがルールなんだね。分かったよ
と、いうような解決法が正解。
これを繰り返すのは本当にストレスでした。
また、彼は言われたことを真に受ける性質があります。
彼 今日はパーティーだけど、9時には帰るから夕飯を一緒に食べよう
私 遅くなるかもしれないんだし、一人で食べるよ
彼 一緒に食べたいんだよ
私 わかった。食べないで待ってる
その後、思ったより長引いたらしく、
彼 10時ごろになりそう
私 9時に帰らないならチェーン掛けて閉め出しちゃうよ
もちろん冗談ですし、チェーンをかけたりしたことはありません。その日は結局、9時半ごろに帰宅したという記憶です。
彼は私の言ったことを本気にして、その後も門限が9時だと思い、職場で私の文句を言っていたらしい。
それを聞いた私はまたイライラ。
こうして日々ストレスを貯めていった2人。
悩みに悩んだ私はいくつかの本を読み、
カサンドラ症候群
というものを知りました。
そこでわかったことは、彼は
共感能力が低い
ということだけでなく、頭の構造、考え方、とらえ方が違うということ
例えば私が「Aにする?Bにする?」と聞いた時に、
「5にするよ」
と答えるような感じです。
「Cにする」程度の違いではなく、アルファベットから数字になってますね・・・
夫婦が同じ時、同じ場所にいても、
全く異なる視点 を持つ。
アスペルガー症候群の人は
「一見ちょっと変わっているけどいい人」です。
そして、実際にパートナーに持たなければわからない理不尽さやストレスが、いつしかパートナーの精神に変調をきたしてしまう。
彼との別れの直接の理由は、暴力と、度重なる嘘で、アスペルガー症候群とは直接の関連はなかったと思います。
けれども、お互いにストレスがたまったことが彼の暴力の引き金になったのかもしれません。
アスペルガー症候群の人は行動が独特なので、必ずしも他の人の例が当てはまるとは限りません。これは、あくまでも私お体験した一例です。
また、カサンドラ症候群について理解を深めることは、決してアスペルガー症候群の人を否定したり差別を助長したりするためではありません。
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