EP10の1時間2分。これまでのエピソード中、もっともアップダウンが激しかった回ではないでしょうか。そういう意味ではジェットコースターでした。

EP9のラストで縋るMingに対して完全なる別離を言い渡したJoe。

Joeの遺体発見に始まり、Mingが気持ちのすべてを明かしても、「もう何もかも遅い」と言い放ち、観ている者を悲しみのドン底に陥れたEP9でしたが・・・。

 

あらあら。

でもEP10では、JoeはMingと共にかつてのJoeの家に戻るのね。Mingに「契約」を持ち出されたからなのでしょう。

Mingはかつての傲慢なふるまいとは打って変わり、Mingにひたすら尽くそうとしています。Joeに冷たくあしらわれてもまったくこたえていません。

・・・・

実を言えば配信された金曜日にこのEP10を最後まで観て、そしてEP11の予告を観たら、眠れなくなってしまいました。その日私は仕事でとても疲れていたにもかかわらず。

それで休日であるこの水曜日、再度EP1からEP4まで見返したのです。つまりはJoeがJoeだったとき、Mingはどのようであり、そして彼らはどのように過ごしたかを振り返るために。

EP10の後半にMingの母が登場しましたが、母親はEP2でも登場しています。そしてEP2で描かれた母親を観て、Mingのマインドが理解できた気がしました。

Mingはとにかく、自分自身の恋(または愛)という感情でしか動いていないし、そこでしか物事を見ていません。EP4でJoeを監禁し、Joeの仕事を奪っても彼は「僕がすべてを与えるから」と言っていました。

Joeが築き上げてきた仕事でのコネクションよりも金と地位でMingはJoeの望むものを与えることが出来ると思っていた(そしてきっとそれは業界的に真実なのだろう)。Joeの気持ちとはまったく関係なく。

この感受性は、Mingの母親から来ているものだと感じた回でした。

Mingの母親の顔。

めっちゃ怖いんですが・・・、

しかしEP2などで登場している時、Mingはこの母親を軽んじていることがうかがわれます。

封建的なこの家では富豪の長の妻である母親は、ひたすら夫と男児に尽くす女性であったのではと思われます。さらにはその家が持つ財の意味も知っています。Mingのマインドや愛情のかけ方、さらには傲慢さはすべてこの母親譲りではないかと想像してしまいました。

Joeに冷たくあしらわれようともへこたれないMingは、実家における母親の姿を映しているのではないか、と思った次第です。
 
オーナメントオーナメント
さてそんなへこたれないMingの策略により、早々にこんなことになってしまうし!

Joe!

キミのチョロさが世界を救うよ!!

 

ところでこのシーンの前のNCシーンについて考えてみたいと思います。

まず男性のボーカルだけの曲が流れて・・・その声でSINだと気付きます。

Yewの曲も非常に効果的に使ってましたが、この幸せなシーンでSIN。選曲が素晴らしい。しかも最初はボーカルだけで、それはまだMingの愛情だけが勝っている行為のように見えます。

しかし一旦音も明かりもフェイドアウトしてこのシーンが終わるのかと思いきや。

曲がギターとリズムの入ったサビ部分になり、そしてここでMingがコンドームを取り出すんですよね。小さなテーブルに無造作に置かれたスマホの下から!つまりそれ、無造作じゃない。仕込みじゃんッ!! 

そしてこの曲のせいでなんだかもう幸福感がガーッと上がるんですよねッ!!

 

で、初めての、ちゃんとJoeと向かい合ったセックス、というシーンですが、その前に、えと、コンドーム!

コンドームのシーンについて言及していいっすか!

 

や、だってもう、これには悲鳴上げたよね?

わたしたちのUpくんがッッッ!!

 

そしてその時間を待つPoomくんのこの表情ですよ!

 

私はこのシーンで、「ああ、これがPepzi監督の演出なんだ、そしてあの『KinnPorsche』でも!」と痛感しました。

ここで『KinnPorsche』のVegasPeteのシーンを思い出しましたよね?あの口でコンドームの封を切って装着してるVegasとそれを待っているPeteのシーンを。

 

ちょっとここでコンドームが登場する他作品との比較をしたいと思います。

幾つかの作品でコンドームが登場するのは、それを「買う」「貰う」というシーン。または「買ったコンドームが相手に見つかってしまう」というシーン。

「買う」のは『Until We Meet Again』や最近だと『Wandee Goodday』。

「友人から貰う」のは『2gether』や『Love by Chance』。

「見つかる」のが『Why R U?』。

コンドーム登場シーンは、それを実際に使う側がそれを買う、または貰うという行為を抽出しているものが多いと思うのです。

しかし現実にそれを使用しようとするシーンはざっと思い出しただけですが『KinnPorsche』と『My Stand-in』しか思い浮かばないのです。(勿論、他にもあるでしょうが)

思うにですね、現実問題として男性にとってコンドームをつける瞬間って、ある意味そこはショートカットしたい、わざわざ記憶にとどめるまでもない空白の時間、なんならちょっとカッコ悪い間、なのではないでしょうか。

しかしそれを待つ側、つまり女性またはゲイのネコ側にとっては、その「待っている」僅かな時間にも物語は流れているのだと思います。Pepzi監督はそこを掬い取ってこのシーンを演出したのではないかと思うのです。

最高じゃないっすかッ!!

 

 

オーナメントオーナメント

もうここまでで十分私たちはジェットコースター的感覚を味わっているのですが、物語はまだEP10の半分も終わってません。この先のもうほんとにしんどい展開ったら・・・。さらに予告で大ダメージですよ・・・。

EP11を見終わった私は一体1週間をどうやって過ごしたらいいのか。今からそんな心配をしています。

 

ところでさ・・・。

天涯孤独のJoe(Poom)でしたがMingもSolもWutも彼のことを待っていました。

しかしJoe(Winner)のことは彼の母親しか待っていなかったのか・・・?

そして彼の魂はもう完全に潰えてしまったのか。

そう考えるとJoeの母親が不憫ですね・・・。

 

ああEP11が怖い。

でもあと2話で終わってしまうのが寂しすぎる・・・。