rakutenn

楽天TVで配信されている『Great Me  Academiy』を観ました。

このドラマ、タイでは60分で全8話だったようですね。楽天TV版では16話に分かれてるようで1話35分程度で全16話です。

 

Nadao Bangkokのドラマ、『I Told Sunset About You』と『I Promised You The Moon』ぐらいしか観てないのよね。

俳優のこともよく知らなかったし。それで観ることにしたんです。

 

 大まかなストーリーを紹介

 

現在停学中の女子高生、ラヴは、近所の全寮制有名男子校のウィヤに片思い中。その男子校では毎年一回、もっともGreatな生徒を選ぶ「Greatest大会」が行われ、その模様は全国に中継されるほどの人気ぶり。さらにそこでGreatest Manに選ばれた男子はユニコーンに1つ願いを叶えてもらうことができるのです!

 

ラヴが恋するウィヤは2年連続でGreat Manになった男子です。

さてラヴは散歩中、不思議な湖のほとりで滅多に遭遇することのないユニコーンに遭ってしまいます。しかもそのユニコーンは傷を負っていたため、助けてあげます。それでユニコーンはラヴの願いをかなえてあげることに。ラヴはウィヤを思い浮かべながら「恋を叶えてほしい」と願います。すると、なんとラヴは男子に変身!しかも深夜0時にその湖に浸からないとラヴはもう元の女の子に戻ることが出来ないという条件付きです。それでラヴはウィヤの通う全寮制男子校に入学することを決めました・・・。

というのがこの物語の冒頭です。

 

女の子のラヴ

 

男の子になったラヴ

 

ラヴが恋するウィヤ

 

ひょうきんでいつもラヴにいたずらを仕掛けるけれども優しい、ウィヤの親友テンモー

 

謎の1年上の先輩、ショーン

 

まずはこのドラマの魅力をピックアップします。

 

 すっごいたくさんのキャストと彼らの音楽について

恋する可愛い女子から、ちょっとかわいい系、でも細身だけど腕や腹筋はきれいな男子に変身したラヴ。

ラヴの同じ1年で親友となる、ニュークリアとメン。

ラヴの実兄で高3のグッド。

高2のショーン。これは『Love Sick』メインキャストのCaptainくんが演じています。

高3のウィヤ、ウィヤの親友テンモー。

ウィヤはIce Parisが、テンモーはJJことJaylerrが演じています。

さて彼らが当時、期間限定で活動していたユニットが「9×9」(Nine By Nine)。

MVだけ観るとあたいはもう誰が誰やら・・・。でもドラマを観たあとではよーくわかるようになりました!

その後、9×9のうちの3人は現在、「TRINITY」で活躍中。

ParisとJJはユニット「 「JAYLERR x PARIS」 で活躍しています。

 

9×9 「Night Light」 2018年11月公開

 

TRINITY「NOBEDY」 2022年2月公開

 

JAYLERR Ice Paris 「Feel Like A Year」 2021年8月公開

 

さて、この先はネタバレになります! できれば観ていない方はここでUターンをおすすめします。

 

 タイドラマならではの内容

高校が舞台のドラマで授業も出てくるのですが、そこでは登場するのは語学や数学や理科などではなく・・・。

「いかにGreat Men」になるか、という授業です。肉体訓練の授業もありますが、主なものは精神修養です。あれ、ここって自己啓蒙セミナーですか?みたいな。しかしそんなヤバい感じもなく、すごく無理なトレーニングとか洗脳が行われるわけではありません。

ただ自分についてなんでもいいから誇れるところや自信を持つところを作ることや、他人に対して思いやりを持つこと、さらに自立した男子として共有スペースの自主的な掃除や片付けなど自分の身の回りのことも出来るように、というのがGreat Menの定義です。脚本や監督が女性なのですが、まさに女性ならではと感じる視点ですね。どうしても「Great Men」という定義に家父長制度や過剰な男らしさなどが想定されますが、ここにはそういうものが無いところが見ていて心地良いです。

さらに授業シーンでにおける、教室の生徒数の少なさ。まるで大学の少人数ゼミのような人数で授業を受けることができるなんてちょっと羨ましいところがいろいろある学校です。

 

ところでこのドラマはBLではありません。

主人公ラヴは、男子の格好をしていても心は女性です。

そして心の中が女性のラヴの恋がウィヤが感じ取り、非常に迷惑そうな顔をして「俺はゲイじゃない」といい、ラヴは「男子校にいるウィヤはゲイではないから女性の自分にチャンスがある」と知ったと同時に今現在の男子としてのラヴが嫌われ、否定されてしまった想いで大きなショックを受けます。

このシーンはタイBLドラマを観続けていた私にとっても少なからずショックを受けました。

『これは・・・女性脚本・女性監督で、そして主役は中身女の子という女の子物語だから、ゲイを否定するの・・・?』と。

タイドラマなのに? Nadaoなのに?

ところがですね、本当に最後の最後、思わぬ展開を迎えるのです・・・!

 

まず、このドラマを観ながら「この先、どんな展開になるのだろう」って想像するじゃないですか。

何を考えましたか?

もしかしたらラヴと、親友のメンもアリかな?とか。

でもやっぱり最後にはラヴとウィヤはくっつく。これは絶対にそう思いますよね?

その際、ゲイを否定したウィヤが男子であるラヴに恋をする?

それとも実は女の子である中のラヴのことをウィヤは好きになる?

そう思っていたら・・・。

 

途中でラヴはユニコーンと最初にした約束を守れずに、元の女の子に永遠に戻れなくなってしまいました。

ラヴの望みは恋が叶うこと以上に「元の女の子に戻ること」の気持ちが勝っていきます。

さらに、ウィヤに恋していたラヴは、テンモーからの想いを知っても受け入れることはできませんでした。

「僕も先輩が好きです。でも、友達でいたほうがいいと思います」といい、最後に「僕はゲイじゃない!」と。

物語途中でラヴがウィヤに恋をしていることを知って十分に傷ついていたテンモーでしたが、最後に告白をしてラヴからこう言われて最大限に傷つき、最終審査に残ったGreatest大会も棄権し、それによって命さえ失うところでした。

そしてGreatest大会勝利者となり、なんでもユニコーンに願いをかなえてもらえる権利を獲得したラヴが選んだのは、「元の女の子であるラヴに戻ること」ではなく、「テンモーの命を救うこと」でした。

さらには、ラヴが選んだのはウィヤへの恋ではなく、テンモーへの愛でした。

 

この展開が・・・とてもタイっぽくない??

だいたいがその恋がどちらに向かうか以上に、まずは「ラヴが女の子に戻る」は鉄板、だと思うんですよ。

しかし、そうではなかった・・・!!

タイでは実際にトランスジェンダーの学生は多いそうです。勿論、日本にも多くいるとは思うのですが、途中で男子だった子が女子として(または女子だった子が男子として)登校してくる、ということは他国に比べてよくあるとのことです。その土壌もあるからこそでしょうか、「元の性別に戻る」という選択が何よりも第一にならないところが興味深いです。

さらにラヴはテンモーに、少なくともあと1年は男子のままのラヴだけど、と言います。

テンモーがゲイならラヴは男子でないといけないし、もしもそうでないならラヴには元の女子に戻って欲しいでしょう。

しかしテンモーの答えは「自分のいたずらにすぐに引っかかるラヴ、人にすぐ同情するラヴ、小さい体で全力で闘おうとするラヴ、そんなラヴが好きだ」と、同性か異性どちらが好きなのかと言う問題は据え置いたままにしています。

全般的にそうではありますが、この辺りはわりと少女マンガ的な展開かなと思います。

とは言え、すべてを異性愛ベースの少年と少女の物語にせず、この先に含みを持たせるところがタイドラマならではだと思います。

 

想像ですが・・・。

ラヴにとっては、自分の元もとの体を失くしたことで、家族のもとに帰ることが出来ないことを恐れていました。

しかしまずは兄のグッドがそれに気づいてラヴを全面的にバックアップし、兄妹でいたとき以上に彼らは家族として結びつきました。さらには母親にも姿は変わってもラヴはラブだと肯定されました。

女子でいた時の親友、ユーとミーは相変わらず親友のまま。そして男子校で出来た親友、ニュークリアとメンの二人の男子もラヴにとっては大切な親友。

そしてテンモーが実際にゲイなら、もうラヴが少女に戻る理由が見つからなくなっています、少なくともこのドラマでは。

そうなるとラヴはここから先、男子として生きていくんじゃないかな・・・。Great Menという素敵な男性として・・・。

 

反対に、ローズという本来の女性に戻らなければならなかったショーンの気持ちが切ないですね・・・。もう彼女は、ウィヤの後輩の男子、ショーンでいる必要はどこにもありません。しかもローズはショーンのままでも、そしてローズに戻っても、過去の思い出は残ってはいても大切なものは失なわれてしまったのです。

 

サムネイル
 

軽快な音楽の使い方。

ウィヤ演じるParisの彫像のような美しさ。

それまでMVを観てた時にはあまり気付いてなかったJJの豊かな表情。

Captainの色気。

楽しくて、けれど完全なハッピーエンドではなく、様々な想いが少し切ない物語。

それが『Great Men Academy』でした。