まず、今回のことでご心配とご迷惑をおかけした皆様、本当に申し訳ありませんでした。
私たちの無事を祈ってくださっていた知人や友人、また私達と直接面識がなくとも励ましのお言葉やお心遣いをくださった日本の方々、そしてコスプレイヤーさん、そして海外の友人や私達と面識のない海外の皆様も、本当にありがとうございます。
悪意あるニュース記事もある中で、今回の問題や事件について調べてくださったり、私達を信じて解放を待ってくださっている方がたくさんいたと知り、本当に感謝の気持ちが溢れて止みません。

そして私たちへのお叱り言葉も真摯に受け止めております。
以前にも同国であった同様の事件を受け、もっともっと、自分達が思っているよりもさらに慎重になるべきでした。
私達がオーガナイザーに再三確認をしたり、オーガナイザーが政府に確認を重ねていたとはいえ、このような結果になってしまったことは、対応が不足していたからに過ぎません。
その点に関しまして、オーガナイザーも我々ゲストも深く反省をしております。


長い前置きとなってしまいましたが、まずは今回のことを知ろうとしてくださった方々、そして海外での活動をしている方やしていきたい方には知っていただき、より安全な活動をしていただきたく、今回のことを私達は記事にすることを決めました。
かなり長くなってしまいますが読んでいただけますと幸いです。


◇海外で活動される全ての人へ。


今回私達が拘束されたときの状況や理由を、日本大使やイミグレーションの職員に伝えられた範囲でまとめていきたいと思います。

▪️最初に。
この事件は、マレーシアで行われたコスプレの世界大会のマレーシア予選があり、そのコンベンションの審査員である私達が、イベント中に拘束された時のことを記したものになります。
イベントオーガナイザーからの説明・謝罪文⇒https://www.facebook.com/353277798844473/posts/454977858674466?s=100012391755155&sfns=mo


まず、今回の日本人・スペイン人拘束に関しては“逮捕”ではなく、事情聴取のための身柄拘束です。
最終的に罰金なども支払っておりませんので、不法入国者ではありません。

各メディアでは「コスプレイヤー拘束」という部分が強調され、写真も何故か私達コスプレイヤーしか掲載されていないものもありました。
しかも写真は目だけをぼかしただけのものや、まるで犯罪者に見えるように掲載されています。
今回拘束された者の中にはコスプレイヤーではない者もおり、「コスプレイヤーだから」というのは理由ではありません。
この各メディアの報道の仕方にコスプレやサブカルチャーへのマイナスのイメージ操作の意図と、悪意を感じましたが、これについてはまた後ほど語りたいと思います。

また、今回の出演に関してギャランティなどは受け取っておらず、マレーシア政府とオーガナイザーの間で事前確認済みとのことです。
そこで政府から就労ビザ不要との認定を受けたとのことです。

▪️今回拘束に至った理由。
※まだ調査中のところもありますが、私たちが
今回の拘束の理由をイミグレーションの上層部の職員や、現地警察、各国の大使からの口頭でのお話を聞いたものをまとめます。

①ギャラが発生したかしていないかは関係なく“大会の審査員”として招かれた時点で仕事と取られる可能性があった。
故に、就労ビザを取っておくのが安全であった。
イベントオーガナイザーと政府との間では取らなくても大丈夫という結果ではあったが、念の為取っていればこんなことにはならなかったであろうというのが日本大使の見解でした。
ただ、就労ビザを取っていても難癖を付けられる可能性もあったのでは...という意見もあり、結局どう転んでもこうなったかもしれないとも言われました。


②入国審査局の職員によっては、ホテル代や渡航費を収益とみなすものも居る。
つまり、人によって収益と感じたら収益になり、ならないと感じたらならない。こちらもとても曖昧です。


大きくは、この2点が拘束に至った理由であったのではと話されました。


▪️拘束の記録。我々がされたことの内容。
※以降の内容に関して、ストレスを感じる方もいらっしゃると思いますので、閲覧はご注意ください。

【1日目】2019/6/30 (sun) 
コスプレコンベンションの審査中に、イベントオーガナイザーから「入国審査局(=イミグレーション)の職員が調査に来ると連絡が入ったため、パスポートがない者はホテルに戻り取りに行くようお願いします。」と報告が入りました。
不幸なことに拘束された私達4人はパスポートを肌身離さず持っていたため、その場に残り、調査に応じることとなりました。
(今回は様々な形の海外ゲストが居て、同じように審査員をしたゲストもいましたが、その場にパスポートを持ってきていなかった者は拘束されていません。)

現場に調査に来たイミグレーションの調査員の姿格好を見て、まず私達はとても驚きました。
パジャマのようなTシャツ短パン、ビーチサンダル、ノーメイクの女性や、ジーパンTシャツにビーチサンダルでタバコをふかしながら対応する男性...
本当にイミグレーションの職員なのか...?と私達は驚きました。
そして、調査のためシャルアラームにある事務所に来てもらうと言われ、乗った車では信じられないことばかり起きました。
私達が乗り込むと上記の職員が「ようこそイミグレーションへ!アッハッハ!!!」とマレー語で叫び大爆笑しはじめたのです。
そして途中ハンバーガーショップで買い食いをしたり、車内でタバコを吸いだしたり、これから入国に関する調査をするとは思えないような行動ばかりでした。

到着した事務所は、床に空いた穴にタバコの吸い殻がたまっていたり、切れた電球が取り替えられていなかったり、とにかく荒んでいると感じました。
(ここで、イベントスタッフが荷物を持ってきてくれ、楽な私服に着替えることができましたが、メイクを落としたりはできませんでした。)

その場所で1時間ほど待たされている間にスペイン領事が駆け付け、パスポートを預かってもらってもいいから私達を解放しホテルでの待機を許してくれと掛け合ってくださいました。
しかし、スペイン領事の交渉も虚しく、私達は別の場所にある収容所へ送られることになりました。
このとき、“収容所”に行くとは伝えられず自分達がどこに連れていかれるのか?私達4人は不安でいっぱいでした。
(もしかしたらマレー語で説明があったかもしれませんが、簡単なものはわかってもマレー語を完全に理解している者は4人の中におらずなんとなくしか内容は入ってこず、状況が全く掴めませんでした。)
伝えられていなかったため、私達はなんの荷物も持たずに収容所へ向かってしまいました。
家族への連絡も出来ないままです。
着替え、衛生用品、スマホ、財布...すべてオーガナイザーに預けたまま、少しの水と食料だけ持って収容所へ向かってしまったのです。

到着した場所では「今日は4人だけで過ごせる清潔な部屋を用意してある。明日はシャルアラームに戻り事情聴取をするから体調を調えておくように。」と私達を連行した職員に言われました。

そして案内された部屋へ向かうと、本当にショッキングな光景がそこにありました。
男女別にわけられた部屋(というか監獄)にはすでに10名前後のインドネシア人とネパール人が収容されていたのです。
そこは空調もなく、ガラスの張られていない鉄格子の窓、ベッドや椅子はなく、全員が床で横たわっていました。
私達は嘘をつかれたと気付き、職員に抗議しました。
すると「ここで寝れないなら、100人の犯罪者とシャルアラムで一緒に寝るか?犯罪者と一緒にされたくなかったらここで寝ろ。」と言われました。

ワケもわからない状況の中で嘘をつかれたことで、本当に悲しく、恐ろしく、人生で感じたことのない不安と絶望を感じました。

諦めて檻の中に入ると、先に入っていたインドネシア人やネパール人が私達が怖がっているのに気付き、微笑みかけて「怖がらなくても大丈夫よ。もう寝なさい」と声を掛けてくれました。

冷たい床の上で覚悟を決めて横になり、夜中も消されない電気が煌々とした部屋で、とても眠る状態ではなかったですが、私達は一生懸命そこで寝ようとしました。
途中で頭痛がして、項垂れているとネパール人の女性がハッカオイルをこめかみに塗りマッサージをしてくれました。
拘束された者の中に英語と少しインドネシア語などを話すことが出来る者がおり、基本的には彼女が通訳をしてくれました。
ネパール人の女性から事情を聞くと、彼女たちはパスポート切れで、拘束されたとのことでした。
「あなた達は私達とは違うから、今日帰れるわよ。」と励ましてくれました。
私達は、彼女たちを警戒してしまったことを恥じ、ごめんなさいありがとうございますと伝えました。

そして、シャルアラームに行くと聞いていた月曜日の朝となりました。