「そのさきのやまは」


せんそうがとなりのとなりのまちまでやってきたよる、わたしたちはやまをこえてみようとあるきだした、にげだした

やまのむこうはまだひだねもないかもしれないから、わたしたちはやまをこえてみようとあるきだした、にげだした

やまのなかはくらくてさむい

それでもいくさよりはましだった

いくさはとなりのとなりのまちをやきつくしたという

おとなはとらえられ、こどもたちはさらわれた

わたしたちはおかされたくない

だれかのおもいどおりにされたくない

やまをこえるとむらがあった

わたしたちはそんちょうににげだしたわけをはなした

むらのひとたちはわたしたちのはなしをきいてきめた

もうひとつさきのやまをこえてへいわのちをもとめようときめた

わたしたちはかれらのいけんにしたがってめのまえのやまのむこうのことをおもった

そこにへいわのちはあるのだろうかといぶかしながらやまをめざす