ようやく『マリアの心臓』にたどり着けたやん



よーく見ると画面右奥に人影が……おわかりいたただけただろうか?






『マリアの心臓』館主、人形屋佐吉氏でした (๑°ᄆ°๑)‼



人見知りのくせに時に手段を選ばないmioka氏、空気も読まず能天気に

「こんちは~っ、宇治から来ました~~
(๑•̀ㅁ•́ฅ✧  」

佐吉氏に話しかける(笑)




長髪を後ろで束ねた痩躰の佐吉氏、『宇治』というキーワードに反応される


佐吉氏、宇治の平等院が一番好きで、本当は平等院近くで(マリアの心臓のための)場所を探しておられたらしい


外観はご自由に写真をお撮り下さいとのお言葉を残し、立ち去られた





うーむ

もうここからして雰囲気あるのぅ



あ、扉に私写ってたわ(笑)




ここからmiokaの粗末な記憶力によるレポートを開始しますが、間違いが多々あるであろうことを先にお詫びします(๑•́ ₃ •̀๑)/






『マリアの心臓』潜入レポート



古民家の扉を開けるとすぐ土間、外の熱気が嘘のようにひんやりしている


中に入ると受け付けに男性が座っていて、
貴重品以外をベンチの座面の収納に入れ、記帳するように言われた

(作家の綾辻行人氏と同じページに書いた
なんか嬉しい)




受け付けのすぐ前に、ガラスの棺のようなケースに収められ、横たわる『恋月姫』DOLL

気品のある少女で、亡骸のようにも見えるし息づいているようにも見える




受け付けに続く板張りの間入ってすぐに、
『四谷シモン』人形

何とも言えない迫力と引力を感じる




板張りの間の柱に掛けられた柱時計の振り子が重くゆったり時を刻んで、だんだん催眠術にかけられ別世界に連れて行かれるような感覚を覚える




部屋の奥の灯りが乏しい場所に、二体の人体模型と虎の置物


多くの展示物や人形に佐吉氏手書きのキャプションが付いている



見事な造形の、木製の巨大なコレクションボードには天使のオブジェやレリーフ、ビスクドール、その他のものがひしめく


無秩序でありながら、緻密に計算されたディスプレイで、整然と見せられる



それはボードの中だけでなく、部屋中、古民家全体に及んでいる



視線を上下左右に向ければ、四方八方思わぬところに思わぬものが潜ませてあるからだ



板張りの間の奥の小さな小部屋の壁には、萩尾望都の『11人いる!』のサイン入りイラスト



その前に『三浦悦子』DOLLが二体、半ばくずおれるかのように『市松人形』と墨書きされた木箱の上に置かれている

三浦悦子さんの人形は痛々しく、目を背けたくなると同時にそれ以上の力で惹き付ける不思議な人形だ




その隣の部屋は圧巻だった



ものすごく奥深い部屋に、私の好きな『サクラビスク』が……

遠目にしか見えないものもあるけれど、これほどたくさんの様々な、そして良いコンディションのサクラビスクを見られるなんて、思っても見なかった


佐吉氏がキャプションに、『遠くてごめんなさい  私にとって大切な物なので』というようなことを書かれていた


遠目でもこれだけのものを見れただけでも幸せです



この部屋からしばらくの間、動けなかった





まだ見るべきところはたくさんある、と自分に言い聞かせて、サクラビスクたちの部屋から出た




板張りの部屋で靴を脱いで、畳敷の間に上がる



白装束の二体の市松人形は、佐吉氏の最期までお供する子達らしい


畳の部屋は続き部屋で、壁沿いに市松人形が整然とお座りして並び、衣紋掛けや衝立に手描き、手刺繍の子供の着物が掛けられている



いちまさんはどの子もあどけなく、楽しそうに見えた



市松人形を怖がる人もいるけれど、ここにいる子達はみんな幸せだろうから、きっと悪いことは何もしない

もしかしたら、ちょっとしたいたずらくらいはするかもしれないけど……




低い梁にはお稲荷さんが、祀られていた


古い着物と新しいい草の混じった懐かしい匂い

母方の祖父母の家が西陣の織り屋の京町屋で、ちょうどこんな匂いがした




続き部屋には回り縁が付いていて、その縁側の突き当たりにも小さな箪笥のようなものの上に人形が飾られていた


すぐ側を流れる川音が、静まり返った部屋に流れる



畳の部屋はさらに右手に続き、床の間のある和室に繋がっていた



古い雛人形に人形浄瑠璃の八重垣姫、窓に向かって座らされた人形などの間に、お座布団がどうぞ座っていて下さいと、誘うように置かれていた



しばらく座って、人形と一緒に川音にじっと耳をすます

この部屋で息をしているのは私一人なはずなのに、そうじゃない感じがした





最初の板張りの部屋に戻り、はしごのような階段を上がり、屋根裏へ



ドレッサーに座り足を投げ出した恋月姫人形がお出迎え

こんなに無造作に置かれていていいのだろうか?


ふっくらした唇や、肉感的な指先をたっぷり観賞する




『中川多理』DOLLは静かで穏やかな表情をしていた

虚ろに見える躰には、むしろ何かが詰まっているように感じる





一段上がり、太い梁に区切られた空間

四つん這いになって潜るときは、色んな意味でドキドキした



梁には上棟の飾りが縛りつけられたままで、また別の梁には黒い翼のニンフ?小悪魔?が座っていてこちらを見下ろしてる




ずっと現物を見たかった『天野可淡』DOLL


やっと会えた




後で聞いたところによると、30体くらいの可淡ドールが集められているそう




可淡ドールの目は、可淡さん自作のもので、可淡ドールの代名詞でもあるくらい特徴があって、見ていると魅入られる

不思議な光を放っていて、強いわけじゃないけどくっきりとした目力で、見続けているとなぜかちょっと不安な気持ちになる


不思議な目だ


超至近距離、20cm足らずの距離で見ても視線が捕まえられない




可淡さん作のメリーゴーランドも小さくて精巧で、でもなにより可淡WORLDで素晴らしかった





ぼーっとした頭でもう一度梁を潜って、ちょっとよろけながら階段を降りた



柱時計が低く鳴った



我にかえってみると、あっという間に二時間ちょっと経っていて、キツネに摘ままれたような不思議な心もとない気分になった




受け付けまで戻り、受け付けの男性と少し話をした


佐吉氏が東京から引っ越して来られて、こちらにお住まいのこと

この展示物は期間限定であるが、今後もまた今回のような展示を考えておられること

まだまだ展示できず、しまいこまれている人形たちがたくさんあること



京都大原のマリアの心臓はなくならない

また、この空間に戻って来れるんだなぁと
嬉しくなった



後ろ髪が引かれる思いではあるが、受け付けの彼にお礼を言ってマリアの心臓から外に出た





またしても外で佐吉氏にお会いしお話しできたが、今しがた受けた感銘の百分の一もお伝えできなかった


再来訪をお約束し、感謝の言葉を述べさせていただいた





私の貧弱な知識では見るべきものを見逃したり、理解できてないものもたくさんあると思う


レポートには書けなかったけど、人形以外にも絵やその他いっぱい素晴らしいものもたくさんあった



ディスプレイの小物、道具も含めて作り上げられたあの空間、あの雰囲気、あの匂いは、あそこに行かなければけっして味わえない



だから少しでも人形に興味のある人は、一度行ってみて欲しいです





Part3  『帰還』に続くがまた明日